マイナンバー利用スタート! 介護保険の手続きで気をつけるポイントは?


《 通知カードが入った郵便 》

年が明けてマイナンバーの利用が始まり、介護保険でも多くの手続きでその記載が求められるようになった。現場で書類をこなす職員は、どんなことに気をつけて仕事に臨めばいいのか。

厚生労働省は先月、制度のポイントや注意点をまとめた事務連絡を事業者に向けて出した。その内容を改めて整理しておきたい。

番号を扱うのはどんな場面なのか?

介護保険でマイナンバーが必要になるシーンは多岐にわたる。厚労省が代表的なものとして例示したのは以下の20種類だ。

  1. 第1号被保険者の資格取得・喪失関係事務
  2. 第2号被保険者の被保険者証の交付申請事務
  3. 保険料の賦課事務
  4. 保険料の減免事務
  5. 高額介護サービス費の支給事務
  6. 高額医療合算介護サービス費の支給事務
  7. 補足給付(特定入所者介護サービス費)の支給事務
  8. 負担割合判定等の事務
  9. 保険料滞納者に係る支払い方法の変更に係る事務
  10. 保険料を徴収する権利が消滅した場合の介護給付等の額の減額等に係る事務
  11. 第2号被保険者の保険給付の一時差止の確認
  12. 旧措置入所者に対する施設介護サービス費の支給
  13. 特例居宅介護サービス費の支給
  14. 特例地域密着型介護サービス費の支給
  15. 特例居宅介護サービス計画費の支給
  16. 居宅介護福祉用具購入費の支給
  17. 居宅介護住宅改修費の支給
  18. 地域支援事業に係る事務
  19. 要介護認定等に係る申請事務
  20. 介護給付等対象サービスの種類の指定変更申請事務

これらに関わる申請・届け出では、マイナンバーの記入欄を加えた書類が使われることになりそうだ。厚労省はすでに、従来から示してきた様式をアップデートして介護保険最新情報で通知している。

マイナンバーを活用する手続きは他にもあり、制度が定着していくに連れてさらに増える見通し。各保険者の判断によって、細かいルールには地域ごとの違いも生じてくる。とりわけ、地域支援事業に関連する事務は市町村の裁量が大きい。それぞれの実情に応じてマイナンバーの要否が決められるため、作業をスムーズに進めるには前もって確認しておいた方が良さそうだ。

書類を保管するならマイナンバーは黒塗りに

実際に現場で利用者のマイナンバーを扱う時は、どんなことに注意すればいいのだろうか。

例えば、事業者が申請書などを保険者へ提出する場面が考えられる。これを代理人として実行するなら、代理権を証明する書類(委任状や本人の被保険者証など)や身分証明書の明示が欠かせない。利用者のマイナンバーを伝えるためには、本人の「個人番号カード」か「通知カード」の写し、マイナンバーが書かれた住民票の写しなどを用意する。もっとも、市町村は住基ネットなどを通じてそれぞれのマイナンバーを調べることも可能だ。カードの紛失などでどうしてもマイナンバーがわからない場合は、窓口できちんと相談すれば進展が見込める。

厚労省はこのほか、利用者が認知症などによって代理権を授与できない状態にあるケースについて、マイナンバーを書かないまま書類を出すよう指導した。単に使者として役所に申請書などを持っていく時は、マイナンバーが見えないよう封筒に入れることを指示している。

大切なのは、利用者から任された権限の範囲内でマイナンバーを使う事務を済ませること。事業者が勝手にそれを逸脱してしまうのは、絶対に認められないと常に覚えておくべきだ。例えば、申請の時に目に入ったマイナンバーを別の形で記録して残し、利用者の情報の管理に用いることなどは許されない。厚労省は事務連絡で、マイナンバーが含まれる書類のコピーなどを必要に応じて事業所に保管しておく場合に、その部分を黒塗りにして隠すことも要請した。加えて、Q&Aでは以下のように注意を促している。

厚生労働省 事務連絡 Q&Aより抜粋
原則としてマイナンバーを法に定められた利用範囲を超えて利用することはできませんし、特定個人情報(マイナンバーをその内容に含む個人情報)をむやみに提供することもできません。また、マイナンバーを取り扱う際は、その漏えい、滅失、毀損を防止するなど、マイナンバーの適切な管理のために必要な措置を講じなければなりません。
マイナンバーは、法律や条例で定められた社会保障、税、災害対策の手続き以外で利用することはできません。これらの手続きに必要な場合を除き、民間事業者が従業員や顧客などにマイナンバーの提供を求めたり、マイナンバーを含む個人情報を収集し、保管したりすることもできません。法律や条例で定められた手続き以外の事務でも、個人番号カードを身分証明書として顧客の本人確認を行うことができますが、その場合は、個人番号カードの裏面に記載されたマイナンバーを書き写したり、コピーを取ったりすることはできません。

今回の事務連絡では、認知症が重くなったりからだが衰えたりして判断能力が弱く、家族や成年後見人もいない利用者が施設などにいるケースの留意点も説明されている。やむを得ない例外として、本人が持っておくべき個人番号カードや通知カード、マイナンバー関連の書類などを施設側で預かることを認めたうえで、以下の3つのポイントに配慮するよう呼びかけた。

  • 可能な限り利用者本人の意思を確かめる
  • 特定個人情報保護委員会のガイドラインを参考にして、マイナンバーを正しく保護する。また、個人番号カードや通知カードといったマスキング処理ができない書類を除き、可能なものはマイナンバーの部分を黒塗りにしておく
  • 本人が自ら情報を管理できなくなる将来を想定し、あらかじめ対応を話し合っておくことが望ましい

不適正に扱うと指導や勧告、命令 悪質なら罰則も

マイナンバーを不適正に扱うと指導・助言や勧告・命令の対象となり、特に悪質な場合は処罰される。法律で定められた罰則の内容を表にまとめた。


《 厚労省の事務連絡をもとに作成 》

サイバー攻撃や過失などによって情報が意図せず漏洩した場合なら、こうした罰則がすぐに適用されることはないという。ただし、その経緯や状況によっては監視機関から改善を命令される可能性があり、それに従わなければ罰則もあり得る。加えて、民事なら過失でも損害賠償を請求されることがあると考えられるため、日頃から十分に気をつけておくことが肝要だ。

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