3度目の緊急事態宣言下で介護は?

変異株を含めた新型コロナ感染の再拡大を受け、4都府県に3度目の緊急事態宣言が出されました。これに合わせ、厚労省も「介護サービス事業所によるサービス継続」に関する通知を発出しています。サービスを制限せざるを得ない状況や利用控えも進みがちな中、考慮すべき課題は何でしょうか。

2021年度予算による介護分の支援事業

今通知で注目したい内容の一つが、2021年度予算による「緊急時介護人材確保・職場環境復旧等支援事業」でしょう。地域医療介護総合確保基金(介護分)を活用したもので、以下のような経費分が助成されます。

対象経費は、⑴緊急時の介護人材確保にかかる費用や、⑵職場環境の復旧・環境整備にかかる費用。また、⑶感染が発生した事業所・施設から利用者を受入れたり、応援派遣を行なった事業所・施設等など「支援側」にかかった費用も別途対象となっています。

⑴、⑵については「新型コロナ感染者が発生したり、濃厚接触者に対応した事業所・施設(休業要請を受けた事業所・施設等を含む)」が主な対象です。たとえば、⑴であれば、緊急雇用にかかる費用、職業紹介料、帰宅困難職員の宿泊費などが対象となります。

現場従事者の負担に報いるとすれば…

注意したいのは、これはあくまで人材確保にかかる経費であり、割増賃金・手当分を除いた基本給などは別枠となる点です。たとえば、濃厚接触者となった職員が休業した場合は、休業手当の支払いに雇用調整助成金が活用できるため(職員が感染によって休業した場合は、健康保険などの傷病手当の支給となる)、その分が受入れ人材の給与にあてられると考えていいでしょう。

実際、⑴の場合の上限額(基準単価)を見ると、通常規模型の通所事業所で1事業所あたり53万7000円、訪問介護事業所で32万円。居宅介護支援事業所も対象となっていますが、こちらは14万8000円です。いずれにしても、都道府県による人材応援体制が十分に確立していないと、職業紹介料などのコストが負担となってくることもあるでしょう。

2021年度改定で、基本報酬は新型コロナ対応分も含めて引き上げとなりましたが、これもやはり「かかり増し経費」が主な算定根拠となっています。つまり、新型コロナ対応に際しての現場従事者への負担に報いるという観点からの支給となれば、やはり先の二次補正予算による「慰労金」が中心となります。

「慰労金」の対象期間延長の法案も審議中

ご存じの通り、この「慰労金」は昨年6月末までが対象期間で、その後に勤務した職員は対象となりません。また、今回3度めとなる緊急事態宣言下で、この慰労金に該当する追加的な支援の必要性も高まっています。

ちなみに、この「慰労金」の対象期間を延長することを旨とした法案が、1月18日に野党4党によって提出されています(現在、衆議院で審議中)。政府・与党側としては、さまざまな報酬上の特例措置によって対応することを主眼としているかもしれません。しかし、そうした予算枠を設ける観点からしても、歩み寄りのハードルは高くないはずです。

特例措置のようにミッションごとの給付も必要でありますが、そのミッションを支えるのは現場従事者という「人」です。その「人」へのベース的な支給を備えなければ、「ミッションは支えられても、その後に人が残らない」となりかねません。これは、国にとっても大きな人的資源の喪失を招くことになります。

変異株拡大で第2、第3の「慰労金」も?

ちなみに、昨年の新型コロナ禍における介護給付費では気になる動向が見られます。2020年度の1年間の給付費実態統計は(4月27日時点で)まだ出されていないので、各年の12月分で比較をしてみました。

それによれば、新型コロナ感染が拡大する前の2018年12月と2019年12月で比較した場合の実受給者数(名寄せを行なった数)の伸びは、介護給付で6万3600人、予防給付で4万6700人となっています。

これに対し、2019年12月と感染拡大後となる2020年12月を比較すると、実受給者数の伸びは、介護給付で4万8900人、予防給付で3万人──伸びが減退しています。

新型コロナ禍では、高齢者の活動範囲も狭まり、それによって「介護サービス利用者が大きく増えるのでは」と推測する向きもありますが、実際の伸びトレンドはダウンしているわけです。一概には言えませんが、地域の介護資源が縮小傾向にあり、「ニーズをすくい切れていない」という状況も考えられます。

こうした可能性も念頭においた場合、国がサービス継続の旗振りをするのなら、介護現場の「人」への予算的支援を再度見直す必要もありそうです。

今後、感染力の強い変異株がさらに広がる恐れがあるとすれば、現場の業務継続計画なども「今のままでいいかどうか」に戸惑うケースも出てくるでしょう。先の「慰労金」の期間延長などに加え、新たな「慰労金」に該当する第2・第3の包括支援金等の打ち出しも必要ではないでしょうか。

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