
- 戸原 玄(とはら はるか)先生:
- 日本大学歯学部摂食機能療法学講座 准教授。東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科修了。
東京医科歯科大学歯学部付属病院 摂食リハビリテーション外来医長を経て、現職。
歯学博士。老年歯科医学会認定医。
口から食べている人に、むせる、食事に時間がかかる、肺炎を繰り返すなどの摂食・嚥下障害を疑う症状(第1回チェックリスト参照)が見られる場合、それが口やのどの機能の問題だと思い込み、「対応は医療関係者でないと無理!」と考えてしまうケアスタッフはまだまだ多いようです。 しかし、専門家でなくてもできる支援はいろいろあります。 まず大事なのは、上手に食べることをじゃましている原因が周囲にないかをよく観察することです。姿勢や環境、食べているものの内容を少し工夫するだけで、食べやすくなることが多々あります。
口から食べている人の摂食・嚥下の問題を解決する目的は大きく一つに集約できます。 それは、「今より安全に食べてもらうこと」。そのためにどうしたら良いかを考えながら観察すると、ケアスタッフにもできるいろいろなことが見えてきます。
口から食べているけれども、食事中にむせたり、飲み込みに時間がかかったりと何らかの不安を抱えている人の観察ポイントとして大きく、「姿勢」、「食べているものの内容」、「食べ方や環境」の三つがあります。 第一のポイントは姿勢です。下記のような「良くない姿勢」は体の一部に偏った力が入り、食べづらさ、飲みづらさを助長します。上手に補正することが必要です。

例えば、身長180cmの人と同じ高さのテーブルとイスで130cmの人が食事をするのは無理があります。 なるべく本人の高さに合わせること。施設などでは入所者の身長によってテーブルを分けるのも手です。 [イラストに戻る↑]
足底がブラブラしていると姿勢が安定しません。
台を置くなど、足底がしっかり接地できるように工夫をしましょう。[イラストに戻る↑]
簡単に言えば気道確保の姿勢であり、飲み込んだものが気管に入りやすい状態です。舌がうまく動かない人など、飲みづらいために上を向いてしまうケースもあるので、場合によってはVE(嚥下内視鏡検査)などの検査が必要なこともあります。[イラストに戻る↑]
普段から背筋を伸ばす動きを心がけるだけでも効果があります。
食事中はできるだけ背筋を伸ばしましょう。
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安定しない体を無理に支えようとすると、体の特定の部分に偏って力が入ってしまいます。
クッションなどで安定させてあげましょう。
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イスの高さや大きさ、形がご利用者に合っていない可能性があります。この場合も体の特定の部分に力が入ってしまいます。イスを替えたり、パッドなどで調整したりします。 [イラストに戻る↑]
次に食べ物の内容のチェックポイントです。 むせやすいもの、食べづらそうなものなど、特定の苦手な食べ物を探し出し、食品の選び方や調理法を工夫しましょう。一般的に食べづらいとされるものとして以下のようなものがあります。食べやすくするポイントとともに紹介します。
食べづらいものを食べられるように工夫することはとても大事です。しかし、ある程度工夫しても難しければ、思い切って避けます。 要は、必要な栄養が補えればいいのです。介護現場では、ほかのものに代替するなど合理的な発想の転換も必要です。
口から食べている人の中には、実は誤嚥をしているのに、そばで介助をしている人から見ると、気づきにくい場合が少なからずあります。「誤嚥をしているのか、微妙だな」と感じたときには、声を出してもらいましょう。
うまく出れば大丈夫ですが、声が出にくい場合は誤嚥の可能性が高いと考えられます。
次回は「摂食・嚥下の評価と援助」の項目の最終回。
テーマは「食べる環境を整える工夫」です。
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誤嚥しているか微妙なときには「交互嚥下」も取り入れてみましょう。

