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配信日:2009/12/11  カテゴリ[事故・違反]  閲覧数[9980]

【違法拘束】精神科患者死亡めぐり「貝塚中央病院」元看護師を逮捕

大阪府貝塚市内の精神科・神経科の専門病院「貝塚中央病院」(田村善貞理事長、貝塚市橋本1000)で08年1月21日、入院中の男性患者(当時48)がベッドに身体拘束された状態で重体となって緊急搬送先の病院で後日死亡したことを巡って、大阪府警貝塚警察署が元職員で看護師の栗原誠一容疑者(53)を業務上過失致死の疑いで逮捕していたことが10日までに分かった。
こうした過失による医療事故の捜査において、医療機関側ではなく医療従事者自身が逮捕されるのはきわめて異例といえる。

貝塚警察署などによると被害男性は08年1月17日に自宅前で倒れて市立堺病院(堺市)に運ばれた。
しかしアルコール依存症の症状などが顕著だったなどから、同夜に貝塚中央病院に入院。
そして1月21日未明、6人部屋で病室ベッドにベルトで拘束されていた男性患者の身体が左横にずり落ち、ベルトの一部が緩んで腹部の拘束帯だけでの宙づりとなって重体状態になっているところを発見された。

固定された拘束ベルトによって腹部を強く圧迫され意識不明となっており、すぐに泉佐野市内の大阪府立泉州救命救急センターに運ばれた。
そのご同年3月5日になって死亡。
解剖の結果では、腹部圧迫の影響による腸管壊死や肝硬変の症状所見が見られたとされる。

精神保健福祉法により、身体拘束をするためには「精神保健指定医」の資格を持つ医師の判断が必要とされる。
また厚生労働省の通達により、身体拘束には指定医の直接診察がなされることも条件とされている。

ただ貝塚中央病院に関連しては「違法な拘束などの人権侵害は日常的なことだった」「ほとんど院長の指示などない中で患者の多くが拘束されていた」などとする複数の病院関係者らの証言も当時からあった。
08年3月には違法な拘束が日常的に見られるとして大阪府岸和田保健所から改善指導も受けていた。
今回の事件を契機に大阪府健康医療部地域保健感染症課精神保健グループが貝塚中央病院への立ち入り調査を実施してきた経緯もある。

今回の直接的な逮捕容疑としては、担当医師の指示で栗原元看護師が患者を拘束した際に拘束ベルトの締め方がゆるかった過失の疑いがあるとされる。
このあたり貝塚病院側では、「アルコール依存のせいか被害患者がベッド上でしきりに身体を動かすことに対処するため、当直の非指定医が精神保健指定医でもある田村善貞理事長(60歳、当時は院長も兼務)に電話で指示を仰いだ。当日の午前0時半ごろに当直医の指示を介して栗原容疑者が患者への拘束を行なった」などと岸和田保健所や貝塚署などに説明してきた。

事件当初は栗原容疑者自身も同様の説明を繰り返していた。
しかし退職後になって「わたしが準夜勤として出勤した時にはすでにベルトが付けられていた。事件後の理事長の命令で、当日の夜勤のリーダーであった自分が責任を被らされただけ。理事長の指示が直接あったかのように記録を作り替えされた。この患者を実際に拘束したのは自分ではない」などと容疑について否認に転じているという。

こうして事件当日の診察状況など事実関係をめぐっても両者の主張が大きく食い違っているなか、今回の突然の元看護師だけを逮捕した警察・検察サイドの意図はどういうものなのか?
今後どのように捜査が進展していくのか、その行方が大いに注目される。

ちなみに死亡患者の遺族からは、医師と看護師が巡回を怠った注意義務違反が死亡事故の原因として、貝塚中央病院を相手に約1億1000万円の損害賠償を求める訴訟が大阪地裁に起こされている。


■関連サイト
「大阪府精神保健福祉関係資料」から公開された「貝塚中央病院 オンブズマン活動報告」(06年7月21日現在) PDF
福祉医療機構(WAM NET)による介護事業者情報「医療法人田村会 貝塚中央病院」 HP
医療法人田村会 貝塚中央病院 HP
大阪府庁 HP
福岡県警察飯塚警察署 HP