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配信日:2019/07/12  カテゴリ[ニュース解説]  閲覧数[2374]

診療報酬側の動向にも目を凝らそう

2021年度の介護保険の制度・報酬・基準の見直しに関して、大きく影響するのが「医療側の動向」です。1年早く訪れる2020年度の診療報酬改定が、介護側のしくみに向けてどのように波及するかを見極めることが必要になるわけです。現段階で、医療側の議論にどのような動きが見られるのかチェックします。

ケアマネなら都道府県の地域医療構想に注目

2020年度の診療報酬改定の動きで特に注意したいのが、入院病床のしくみと医療ネットワーク内での(ICT等を使った)情報共有のしくみです。たとえば、ケアマネであれば利用者の入退院における対医療連携、あるいは平時における医療側との情報共有のあり方に大きく影響するでしょう。介護サービスの提供現場としても、利用者の療養管理や機能訓練などに際して、医療機関・医療職との連携のあり方を強く左右することになります。

こうした点を頭に入れたうえで、まず注目したいのが、2018年度から都道府県で策定されることになった地域医療構想です。これは、2025年における高度急性期、急性期、回復期、慢性期の4機能ごとのニーズと将来の病床数の必要量、さらに在宅医療等の医療需要を推計し、医療計画に反映させるものです。

この場合の医療計画とは、2023年度までの第7次医療計画で、その中間年で必要な見直しも行わなければなりません。ケアマネとしては、自分たちに関係する都道府県の地域医療構想にまず目を通しておくこと。そのうえで、担当する利用者の医療圏での病床や在宅医療がどうなっていくのかについて、予測しつつ必要な体制整備を図ることが必要です。

包括ケア病棟・回復リハ病棟の動向が焦点

たとえば、7月に開催された中央社会保険医療協議会(中医協)では、地域づくり・まちづくりにおける医療のあり方が議論されています。提示されている入院料別の届出施設数の推移を見ると、(2018年度の改定前までで)一般病床や療養病床の横ばい(もしくは頭打ち)状態と比較して、地域包括ケア病棟と回復期リハビリ病棟(特に点数の高い入院料1)の伸びが目立っています。

2018年度の診療報酬改定では、この地域包括ケア病棟と回復期リハビリ病棟における実績の評価が強化されました。前者であれば、在宅医療などの提供にかかる内容、後者であれば、患者の退院時の機能維持・向上にかかる内容です。当然ながら、在宅復帰やそこでの生活機能の維持・向上をきちんと図られていることが厳しく問われるわけです。

地域医療構想の多くが、「病床のダウンサイジング(縮小)」を大きなミッションにしていることは間違いありません。となれば、先の地域包括ケア病棟と回復期リハビリ病棟における「在宅復帰や生活機能の維持・向上」に強くこだわったうえで、在宅医療・介護がいかに円滑にバトンを受け取るかを強く問う流れができます。つまり、市区町村が策定する介護保険事業計画において、「どんなサービスを強化すれば、バトンタッチがうまくいくか」が主テーマとなってくるわけです。

オンライン診療・服薬指導の拡大にも注意

ここで、医療側で進むもう一つの改革に目を移してみましょう。それが、ICT等を活用したオンラインによる患者への診療や指導、そして多職種との情報共有です。

2018年度の診療報酬改定では、一定条件のもとでオンライン診療を評価するしくみが生まれ、(ケアマネの入退院支援加算にも関係する)退院カンファンレスにおける担当者のテレビ会議での参加もOKとなりました。

加えて、現在、国会には、薬剤師による調剤時の患者への服薬指導を「テレビ電話」などで行なうことを可能とする法案が提出されています。さらに、一部の地域の栄養士会では、やはりオンラインによる「特別な栄養管理が必要な患者」への栄養指導について、モデル事業もスタートしています。

つまり、多様な医療職(薬剤師、栄養士含む)による患者指導がオンラインで進められるという流れが強化されれば、介護側の職種もそれを支援するしくみを整えるという可能性が強まるわけです(実際、先の薬剤師によるオンライン服薬指導について、介護施設における実証実験も始まっています)。

介護サービス現場でのICT活用は「業務の効率化」がテーマとしてかかげられていますが、実は、「対医療連携の円滑化」というもう一つのテーマが隠れていると見るべきでしょう。ここに、先の円滑なバトンタッチというテーマが絡めば、ICTによる医療側のシステムの高度化に、介護側も「乗らなければならない」という流れができることになります。

こうした改革が、介護報酬・基準にどのような影響を与えるかについてチェックしつつ、現場として「対医療連携を見すえたICT活用」を今から考えていく必要がありそうです。