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配信日:2019/06/27  カテゴリ[イベント・リリース]  閲覧数[9620]

ケアラー支援、介護保険の対象として明確に 淑徳大・結城教授ら介護離職防止へ提言


《 調査報告を行う淑徳大・結城教授 》

介護離職の防止≒家族介護者の支援。こうした認識で法的・制度的な対応をとるよう呼びかけている。

淑徳大学の結城康博教授を主査とする研究班が26日、居宅介護支援の事業所に利用者の家族の介護離職について尋ねた調査の結果を公表した。

「介護離職」防止のための社会システム構築への提言

介護離職を防ぐことはケアマネの役割か?

大半の事業所が「そう思う」を選び、居宅サービスや地域密着型サービスの柔軟性を高めるべきだと答えた。一方、あくまでも本人への支援が責務で家族の問題にまでは踏み込みにくい、といった慎重な見方もあったと報告されている。

研究班はこれらを踏まえ、現行法の考え方を改めるべきだと提言。家族介護者への支援も介護保険制度の目的として明確に位置付け、もっぱら本人の介護必要度に着目して給付を決める今の仕組みを変えるべきだと主張している。

「ケアマネはジレンマを抱えている」

この調査は、千葉県内の全ての居宅(1866事業所)を対象として昨年10月に行われたもの。42%の783事業所から有効な回答を得たという。千葉県は首都圏に通勤するサラリーマンが多く、農村部から大都市圏まで幅広い地域性を併せ持っているため、有意なデータを得やすいモデル地域として選ばれた。

結果をみると、これまでに主な家族介護者が介護離職に至ったケースが「あった」とした事業所は30.0%だった。「働き方を変えれば防げたか?」との問いには、57.4%が「防げなかった」と答えている。

介護離職の防止はケアマネの役割かと尋ねたところ、89.4%が「そう思う」を選択した。「そう思わない」の10.6%の理由では、「家族の問題に介入する責任は持てない」が最多。加えて、「利用者本人の支援が主たる業務だから」「利用者本人の意向を重視するから」などの意見もみられた。研究班はこれを踏まえ、「ケアマネは介護離職を防ぐ対応の必要性を感じつつジレンマを抱えている」と分析している。

介護離職を防ぐために必要なこと(複数回答)では、「地域密着型サービスの充実」が552事業所で最も多かった。以下、「施設への入所」が398事業所、「企業の就労継続支援の充実」が379事業所と続く。

「居宅サービスの利用を柔軟にできるようにすべきか?」との質問には、92.0%が「そう思う」。ケアマネの法定研修で家族介護者への支援を充実させることの必要性については、67.0%が「ある」との考えを示している。

「ケアマネの業務負担への配慮も」

こうした結果を受けて研究班は、「家族介護者も介護保険の対象者として明確に位置づけ、いわゆる『ケアラー』の存在を社会的・制度的に認知させるべき」と提言。家族介護者の就労状況や健康などを十分に勘案せず、レスパイト機能も弱い現行制度を再考すべきと呼びかけた。

また、「家族介護者が社会的に支援の対象であると認められれば、徐々に職場内で『介護の相談をすることに抵抗感がない』という雰囲気が芽生えていくのではないか」などと利点を説明している。

主査の結城教授は、「ケアマネは日々の仕事に追われており、何でも全て任せればいいという話ではない」と指摘。属人的にならず社会全体で機能するシステムを作るため、ケアマネの業務負担の問題にも向き合うべきと訴えている。