2019年、ケアマネが心がけたいこと

新元号へと変わる2019年、介護現場はどうなっていくのでしょうか。影響を与えるのは、4月からの改正入管法の施行、10月に実施される新たな処遇改善策だけではありません。21年度の制度見直し(20年度の診療報酬改定も含む)に向けた議論が始まる中、ケアマネが担う責務も新たな段階に入りそうです。

利用者の「重度化防止」に向けた意識変化

まず頭に入れるべきは、19年から「何が変わるか」の前に、18年に「変わったこと」への影響が少しずつ表面化していくことです。言うまでもなく、18年には介護・診療報酬のダブル改定のほか、8月からの利用者への3割負担導入など制度上の変更も行なわれました。利用者側や医療側の事情も変わる中で、介護現場に周囲から押し寄せている影響にも注意を払うことが必要になるわけです。

3割負担の多くは「現役並み所得」の層であるとはいえ、介護の「長期にわたって先が見えない」という特質の中で、2年目に入ってサービスに向けられる利用者の視線は少しずつ厳しくなる可能性があります。導入から3年以上が経過する2割負担の対象者でも、「いつ3割負担へと格上げされるか」という不安から、「本人の重度化による負担増は避けたい」という考え方も強まっていきそうです。

「利用者側が重度化防止にそこまで神経質になるだろうか」と思う人もいるでしょう。問題は、介護予防や重度化防止にかかる国側の啓発・施策が強まっていくことです。

利用者、医師、ケアマネの合意形成が重要に

国は現在、高齢者の低栄養防止・重度化予防等の推進に力を入れており、「高齢者の特性を踏まえた保健事業」のガイドラインをふまえた全国展開を図ろうとしています。19年度予算案では、食事摂取基準を活用したフレイル予防についての普及啓発などに3600万円が新規でかけられることになっています。

また、保健事業と介護予防事業の一体化が検討される中、20年度の診療報酬改定などでも、介護予防の段階から医療の関与が強められる可能性があります。利用者に対して、重度化防止にかかる国から保険者経由による啓発のみならず、かかりつけの医療機関から(次の報酬改定をにらんだ事業の布石として)さまざまな指導が増えていくかもしれません。

そうなった場合、利用者や家族の介護サービスへの要望のハードルが高まることも想定されます。「今よりも状態改善が図れるはずである」という期待値が高まるわけです。

もちろん、高齢の要介護者にかかる状態改善はそう簡単ではありません。しかし、「負担増を防ぎたい」という利用者側の意識に、国や保険者、医療機関による(やや前のめりな)啓発が加わる中で、重度化防止に向けた意向が過熱することも考えられます。(たとえば、かかりつけの医師から「重度化を防ぎたいなら、今利用している介護サービスは考え直した方がいい」と言われた、など)

そうなると、ケアマネジメントを担う立場としては、利用者や家族との間で認識のズレが強まる可能性があります。これを防ぐには、利用者・家族とケアマネ、主治医などとの間で、今まで以上に緊密なコミュニケーションを図ることが必要でしょう。その中では、「ADLの維持・向上や栄養改善も重要だが、利用者のQOL向上も伴わせることが必要」といった共通認識も求められます。

国の「旗振り」と「施策」の溝が拡大する!?

こうした環境下では、サービス提供事業者の「ケアマネジメントへのかかわり方」も問われます。サービス担当者が、利用者・ケアマネ・主治医の合意形成にきちんとコミットする(かかわる)ことが欠かせないわけです。

その力量が乏しい事業者、特に社福系や営利法人による事業者は、発言力を強める医療法人系サービスにとって代わられる流れも強まるでしょう(医療系サービスが特定事業所集中減算の対象から外れたことも、このあたりで効いてくることになりそうです)。

しかし、人材不足で「現場を回すのがやっと」という事業者も多い中、ケアマネが汗を流して築いた「利用者との合意」も、現場のサービスで活かされないというケースも増えかねません。たとえば、現場のサービス計画が(ケアマネがどんなに指摘しても)ケアプランとかみ合わず、目標達成が厳しくなったあげく、プランの見直しや新たな事業者探しにケアマネが奔走するケースも増えそうです。

10月に実施される新たな処遇改善策が、どれだけ効果をあげるかは見通せません。少なくとも、国が旗を振る自立支援・重度化防止の土台を固めるには十分とはいえません。このあたりの矛盾が、19年は少しずつ頭をもたげるのではないでしょうか。ケアマネとしては、地域のなじみの事業者が「利用者や主治医との合意」に見合う力量を本当に備えているのか、多職種合同の研修会などを通じて意思疎通を深めていく必要がありそうです。

コメント[55

コメントを見るには...

このページの先頭へ