10月施行プラン届出に潜む混乱の芽

2018年10月より、頻回訪問(1月あたり一定回数以上)の生活援助をケアプランに位置づけた場合、そのプランを市町村に届け出ることが義務づけられます。この改定について、今年の国会で、参議院議長あてに野党議員から質問主意書が出されました。現場のケアマネにとって注目したい論点を取り上げます。

プラン是正の法的な根拠はどこにあるか?

改めてケアプラン提出後の流れをたどります。市町村に届け出がなされたケアプランについては、利用者の自立支援・重度化防止の観点から地域ケア会議等で検証を行ないます。そのうえで、市町村が「ケアプランの内容の見直しが必要」と判断した場合には「是正をうながす」となっています。今年3月の質問主意書では、この「是正をうながす」こと(是正指導)の法的な根拠を求めています。

これに対する答弁(答弁者は安倍内閣総理大臣)は、「介護保険法第115条の45第2項第3号の規定」によるというものです。この規定とは、市町村の地域支援事業のうち「包括的・継続的マネジメント支援事業」について記した項目で以下のように示されています。

「保健医療および福祉に関する専門的知識を有する者による、被保険者の居宅サービス計画および施設サービス計画の検証、その心身の状況、介護給付等対象サービスの利用状況、その他の状況に関する定期的な協議、その他の取組みを通じ、当該被保険者が地域において自立した生活を営むことができるよう、包括的かつ継続的な支援を行なう事業」

是正は「行政指導」と認めた政府側の答弁

上記の条文を見てもわかるとおり、「(ケアプランの)是正をうながす」という文言は一つも出てきません。強いていえば、地域ケア会議を指す「定期的な協議」と「その他の取組み」の中に、「是正をうながす」という内容が含まれるという解釈になりそうです。しかし、「是正」に強制力を持たせるのだとすれば、条文的にはあいまいな印象はぬぐえません。

この点に関連して、同じく4月に出された質問主意書では、以下の点を明確にすることを求めています。それは、「是正をうながす」という市町村の行為は、(1)何らかの法的根拠にもとづく「行政処分」として行われるものなのか、それとも(2)「行政指導」として行われるものであるのかという点です。

ちなみに、「行政処分」とは「法律や条例」にもとづいて「行政担当者が強制力をもって執行できる内容」を明確に定めたものです。これに対し、「行政指導」とは、行政処分のような権力による強制力はない(行政指導を受けた側は任意的に協力する)と一般には解釈されています。もちろん、「強制力はない」とはいっても、適切な運用が求められます。そのための法律が「行政手続法」となります。

さて、主意書に対する答弁では、「行政指導である」と回答されました。ここで一つの問題が出てきます。上記の「行政手続法」の第32条第2項では、以下のように記されています。それは、「行政指導にたずさわる者は、その相手方が行政指導に従わなかったことを理由として、不利益な取り扱いをしてはならない」というものです。これによれば「ケアプランの是正」に従わなかったとしても、ケアマネ側がお咎めを受けることはないわけです。

利用者が「納得しない」場合のケアマネの立場

とはいえ、(指定権者である)市町村とケアマネの関係を考えれば、「是正をうながす」という行政指導(政府側の答弁より)に従わざるを得ないというのが実情でしょう。ただし、以下のような場合はどうなるでしょうか。

たとえば、ケアプランの是正をうながされた場合に、利用者が「納得しない」というケースがないとは言い切れません。そうしたケースは主意書でもふれられ、対する答弁は以下のようになっています。それは、ケアプランの変更を行なう場合に、ケアマネは利用者の同意を得る必要があり、利用者・家族に対して(ケアマネが)是正の趣旨等について十分な説明を行なう必要があるというものです。

つまり、是正の方向性を検討するのが地域ケア会議、是正をうながすのが市町村であるにもかかわらず、その趣旨を利用者・家族に説明して同意を得るのは「ケアマネ」となるわけです。やや乱暴な言い方ですが、利用者が納得しない場合に、ケアマネが「板挟みになる」ことが前提になっているとも言えます。

そうなると、是正指導に強制力があるのか、是正に従わない場合にペナルティがあるのかどうかという議論が、がぜん切実感を帯びてきます。地域の連絡会なども、保険者とよく話し合っておくべき課題ではないでしょうか。

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