危険水域の人材不足にどう向き合う?

福祉医療機構や介護労働安定センターの調査では、介護現場の人材不足は深刻化の一途をたどり、現場運営も危険水域に近づいています。地域によっては、人材不足による撤退や事業の縮小のリスクもさらに高まりかねません。そうした時代を迎え、ケアマネとしてどのような心得・対応が必要になるでしょうか。

ケアマネとして進めておきたい3つの対応

いつも使っていた訪問介護事業所から、「ヘルパー不足のために新規の依頼を受けられない」という申し出を受ける。あるいは、すでにサービス提供が行われているケースにおいて、「利用回数を減らしてくれないか」という相談を受ける──すべてのケアマネにとって、いつ何時、そうした状況に見舞われないとも限らない時代が訪れつつあります。

そうした状況が「当たり前」になりつつあるとすれば、前もって「居宅介護支援事業所としての対応策」を講じておく必要があります。その際のポイントは以下の3つです。

(1)地域の介護サービス事業所の「人手不足状況」について、できるだけ正確な情報を集めておくこと。(2)地域で「足りなくなる」恐れがあるサービス資源を想定し、プラン上の課題解決・目標達成に向けた「代替えサービス」の設定ルールを定めておくこと。(3)(2)の状況が生じた場合の「利用者の理解」を得るための説明マニュアルを整えておくことです。

資源不足を想定したシミュレーションも

(1)の場合、別法人の人事労務の状況などはなかなか表に出にくい情報ではあります。法人によっては、「地域の風評」を気にして情報をシャットアウト(介護サービス情報公表システム上の職員数等の情報も更新しないままに)してしまうことも考えられます。

こうした状況を考えたとき、サービス事業所の管理者等と情報のやり取りなどを行なう機会で、以下のような点に注意しましょう。たとえば、「人材の過不足状況」や「どの程度の規模で人材募集をかけているか」といった情報が急に表に出なくなった。通所系や短期入所系で、何の前ぶれもなく、突然定員数を絞り込んだ──などというケースです。

「人材不足が深刻」という話題が出ているうちは、「法人として何とかしようとしている」という意思の現れです。これに対し、情報等が途切れるということは、法人内が混乱を極めていて危険水域に入っているといえます。

(1)の状況をサービス分野別で推し量ったうえで、「多くが危険水域にある」というサービスについて、事業所内(あるいは地域連携での)ケース検討において、集中的に(2)を実施します。たとえば週3の訪問介護が必要なケースで、週1、2とせざるを得なくなった場合に通所等で代替えすることはできるのか。生活援助系ならば、地域の保険外資源(ボランティアによる生活支援サービスや配食サービス等)で、どこまでまかなえるのか。そうしたシミュレーションを重ねていくわけです。

(2)のようなシミュレーションを経たうえで、代替サービスによる「組み換えプラン」を利用者にどうやって説明し納得してもらうか。このマニュアル整備やロールプレイング研修を、(3)として進めていくことになります。

人材不足時代のケアマネ負担を評価すべき

もちろん、居宅介護支援事業所が上記のような取組みを行なうこと自体、本来あってはならないことです。それでも「行わざるをえない」というのは、現場がエマージェンシー(緊急事態)に陥っていることの証でもあります。つまり、先のような取組みを地域の連絡会などが持ち寄って体系化することで、ケアマネ側から国に対して「施策改善を求めるための材料」とすることができるわけです。

道筋は、以下のとおりです。先のようなケアマネ側の取組みは、少なからぬ業務負担の増加を生みます。当然それに見合う報酬増が必要であり、先の取組み事例を厚労省の分科会に提示して「報酬増」の根拠とします。地域ごとの資源不足に偏りがあるなら、地域加算のようなものを打ち出してもいいでしょう。

将来的に「ケアマネジメントへの利用者負担」が導入される可能性があるとして、そこで生じる地域負担の格差は「追い込まれた介護保険の姿」を明らかにするものとなります。これによって、利用者(および被保険者)への啓発を進める一端にもなるでしょう。今の危機的状況は、もはや「現場へのしわ寄せ」だけで乗り切れるものではないという認識を国民全体で共有していくことが必要です。

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