本来の住所と異なる住所で届け出、同一建物内減算逃れの疑い 熊本県

熊本県の指定訪問介護事業者が、訪問介護事業者指定の申請時に県に届け出た事業所ではなく、法人が運営するサービス付き高齢者向け住宅内において訪問介護サービスを提供していた。虚偽の住所による届け出は、同一建物内減算(10%)を逃れるための偽装工作である疑いが強まった。そのため、熊本県が監査を実施したところ不正の事実が判明。当該事業所は同一建物内減算(10%)を行わずに、県に介護報酬を請求し受領していた。

県は事業所に対し、「聴聞決定予定通知」を出していたが、聴聞を行う前に事業廃止の届出があった。聴聞決定日前の事業廃止の届出は、介護保険法で規定した欠格事由に該当する。

熊本県では不正があった当該事案について公表することにしたが、当該事業者名などは公表していない。また、県内の各介護保険事業者には管理者はもとより、事業所全体でコンプライアンスの遵守を徹底するよう要請している。

聴聞前の事業廃止届について

聴聞決定予定通知というのは、介護保険法にもとづく聴聞を行うかどうかを決定する日時が記載されている通知である。聴聞を行うかどうかを決定する日時までの間に廃止届を提出した場合は、欠格事由(当該事業の廃止について相当の理由がある者を除く)に該当すると介護保険法によって規定されている。

聴聞決定予定通知後に廃止届を出した場合は5年間の欠格者となり、向こう5年間にわたって指定訪問介護事業者としての指定を再取得できない。これは、処分逃れを防止するために規定された項目である。

なお、聴聞決定予定通知が発出される前に廃止届を出した場合は欠格事由に該当しない。この場合、廃止届提出後の1年後に指定訪問介護事業者の許可を再取得することが可能である。ただし、監査中に廃止届を出した事業所については処分相当として、事業者名を公表する自治体もある。

熊本県への電話取材

本件について熊本県健康福祉部高齢者支援課へ電話取材を行ったところ、以下のような回答が得られた。

「不正があったという情報をもとに監査を行ったが、調査の最中に当該事業者によって廃止届が提出された。欠格事由に該当するが、行政処分には至っていないため、当該事業者名の公表を見送った。虚偽の請求によって受領した介護報酬額や返還額などは現在調査中である。」

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