ケアプランへの自己負担で何が変わる?

6月5日に開催された内閣府の経済財政諮問会議において、「経済財政運営と改革の基本方針(いわゆる「骨太の改革」)2018」の原案が示されました。その中の社会保障にかかるテーマの一環として、「ケアプラン作成」の給付適正化が取り上げられました。これにより、「ケアマネジメントにかかる利用者負担の導入」が視野に入ったことになります。

今回は政府も本腰を入れてくる可能性

「ケアマネジメントへの利用者負担導入」については、過去にも何度か建議されつつ、そのつど立ち消えとなっていました。今回は内閣府の骨太方針案に示されたのと、2021年度に再び制度の見直しが示唆されつつ、そのトップバッターとしてかかげられたという点で、政府として本腰を入れる姿勢が見てとれます。

ケアマネジメントに利用者負担が導入されると、どのような影響が生じるのか。この点については、2016年12月の介護保険部会の取りまとめで、賛否の見解が示されています。

たとえば、反対意見では「利用者負担を導入すると、利用者の意向を反映すべきとの圧力が高まり、給付費の増加につながる」という論。これに対し、賛成意見では「利用者の意向を反映すべきとの圧力については、ケアマネの専門性を高めることや、ケアマネジメントの標準化などにより対応すべき」、「各サービスには定率の利用者負担があるので、(利用者の負担増につながる)給付費の増加には直結しない」という反論が見られました。

2割負担導入時の「負担増」との事情の違い

ここで、利用者(および家族)の考え方とケアマネとの関係性の中で、もう少し起こりうる状況を掘り下げてみましょう。

負担増の影響が及びやすいケースとして、居宅における1割負担者を取り上げます。この場合、要介護3で平均的な月あたり負担額は約1万5,000円(2016年4月審査分)となっています。これに対し、仮にケアマネジメントに1割負担が導入された場合、基本報酬の範囲であれば(1点10円として)1,368円、ここに特定事業所加算などが加われば、月あたり負担額の1割を超えることになります。

ちなみに、月あたり自己負担限度額の区分が「一般」だとすれば、月44,400円までは高額介護サービス費の還付は発生しません。所得分布にもよりますが、要介護3の平均負担からすれば、ケアマネジメントの利用者負担が増えると単純に負担増となるわけです。

これまでの負担費用に1割が上乗せされるとなれば、それまで消費税が0%だったところにいきなり10%が上乗せされるのと同じことです。しかも、それが「先行きが見えにくい介護」という状況で毎月生じるわけです。恐らく、「いずれかのサービス利用を抑制する」という動機につながる可能性が出てきます。

上記の「サービス利用の抑制」については、先の介護保険部会の導入反対論でも指摘されています。確かに、2割負担導入時のように「負担は増えても当面は(サービス出費は減らさず)我慢する」ケースも多いでしょう。しかし、一定所得以下である1割負担者の場合、我慢する限度は低くなりがちです。この点で2割負担導入時とは事情が異なります。

ケアマネとの関係性はどのように変化する?

また、利用者にとって大きいのは、「今まで(利用者から見て)無料で付き合ってくれていた」というケアマネに対し、新たに料金を支払う必要が生じる点です。ここで、両者の関係性に微妙な変化が生まれやすくなります。

先の賛成論では「ケアマネへの専門性の評価が高まる」とする声が上がっています。しかし、利用者としては、「身近なパートナーシップを得ていた存在が、他のサービス提供者と同列になる」という意識の方がむしろ強くならないでしょうか。つまり、「第三者的な立場で(サービス利用にかかる)本音もきちんと話せる人」という認識が遠のくわけです。

もちろん、このあたりは利用者との継続的な信頼関係の作り方によるでしょう。しかし、少なくとも「利用者から見たパートナーとしての位置づけ」が微妙に変われば、その蓄積は「パートナーがいる安心」→「自立意欲の向上」という流れにも影響を与えかねません。

こうした利用者心理は、制度改革ではほとんど議論には上がりません。しかし、自立支援の影響因子に対人関係があることは科学的な視点からも明らかです。自立支援因子に深くかかわる「当事者の本音」を軽視していては、国が打ち出す介護の科学性からは遠く離れかねません。ケアマネジメントの自己負担を導入するのなら、たとえば政府担当者が全国を回り、まずは利用者と車座で話し合うなどの機会を設けるべきではないでしょうか。

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