要支援の訪問・通所介護、676市町村で事業者が撤退 最新集計 厚労省

従来の予防給付から「新しい総合事業」へ移っていく経過期間が終わるタイミングで、要支援者に対する訪問介護や通所介護から撤退する事業者がいる―。そう答えた市町村が全国676ヵ所にのぼるという調査の結果を、厚生労働省が新たに明らかにした。

事業者が撤退したことで、必要なサービスを提供していくために関係者間で改めて調整しなければいけなくなった利用者は、83市町村の610人だったという。このうち607人は既に調整が済んでおり、協議を続けているのは3人だけだったとしている。

総合事業の訪問介護、通所介護をめぐっては、以前から予防給付のスキームでサービスを提供してきた事業者に認められてきた「みなし指定」の有効期間が、昨年度末で原則として終了した。今年度も引き続き運営していくためには、既定のプロセスに沿った指定の更新手続きを改めて行わなければいけない。厳しい経営環境や担い手不足の深刻化を見越して多くの事業者が撤退してしまう―。そんな予測をもとに、「必要なサービスが行き届かなくなるのではないか」といった指摘が出ていた。

徐々に手を引く事業者も

今回の調査は、こうした懸念の声を受けて厚労省が実施したもの。集計は今月6日時点。全国1708市町村の回答をまとめたという。厚労省は今年2月、1月までの段階で集まっていた回答を整理した結果を国会に報告していた。

実際に撤退した事業者は少なからずいるが、ほとんどのケースで必要なサービスを提供していくための調整が行われている―。今回の結果が持つ意味合いだ。

ただし、具体的にどんな調整がなされたのかは判然としていない。他の事業者への引き継ぎがうまくいかなければ、利用者の心身の状態が悪化するリスクが大きくなってしまう。また、今回のところはひとまず指定の更新手続きをしておく判断を下したものの、要支援者へのサービスから徐々に手を引いていく事業者もいるとみられる。「軽度者の介護難民が増えていく」。野党などはそう追求しており、今後の動向に大きな注目が集まっている。

厚労省は昨年度、総合事業のサービス形態や利用者数などを詳しく把握するための調査研究事業を実施した。この結果も近く公表される見通しで、今後の制度改正をめぐる論議の材料の1つとなりそうだ。

コメント[55

コメントを見るには...

このページの先頭へ