軽症の外来受診への定額負担導入など提案 財政審で財務省

財政制度等審議会 財政制度分科会(4/11)《財務省》

財務省は4月11日、財務大臣の諮問機関である財政制度等審議会・財政制度分科会に、今後の社会保障改革の考え方を提示した。社会保障制度を将来にわたって維持していくためには、医療の高度化などに伴う医療費の伸びを抑制する必要があるとして、保険給付範囲の見直しや、公定価格の適正化・包括化、年齢ではなく能力に応じた負担の実施-などに取り組む必要があると指摘。具体策では、少額の外来受診に対して追加的な定額負担を求め、軽症での頻回受診に歯止めをかけることや、【急性期一般入院基本料】の算定要件のさらなる厳格化を図って、急性期入院医療費の削減につなげることなどを提案した。

社会保障の現状について財務省は、医療給付費における公費負担が年々増加傾向にあるのに対して、医療費に占める患者負担割合は、自己負担割合が低い高齢者の増加や、高額療養費制度で負担上限が設定されている影響などで減少傾向にあると分析した。医療費の増加が患者自身の負担ではなく、公費と保険料によって支えられている現状に強い問題意識を表明。医療費の伸びの要因のうち、高齢化などの人口構造の変化以外の理由での増加には、医薬品・特定保険医療材料の保険収載の在り方の見直しや、医療提供体制の量的コントロールなど、「政策的な対応の余地がある」との認識を示した(p39~p45参照)。

保険給付範囲の見直し、大きなリスクは共助、小さなリスクは自助で

その上で、医療・介護制度の今後の方向性として、▽保険給付範囲の在り方の見直し(高度・高額な医療技術や医薬品への対応、大きなリスクは共助、小さなリスクは自助で対応)▽必要となる保険給付の効率的な提供(公定価格の適正化・包括化、医療提供体制の改革)▽高齢化や人口減少下での給付と負担の適切なバランス(年齢ではなく能力に応じた負担、医療費の増加に伴う負担の在り方の見直し)-の3つの視点での改革の実施を提案。視点に沿った具体案も示して、政府の改革工程表への追加を求めた(p58~p60参照)。

外来医療では、少額・頻回受診を抑制するため、比較的軽微な受診については一定の追加負担を求めることを提案。その際、かかりつけ医やかかりつけ薬局への患者誘導策として、負担に差を設けることも検討課題に位置づけた。薬剤の自己負担に関しては、薬剤の種類に応じた保険償還率の設定などについて改めて検討を促した(p64~p65参照)。

医療提供体制で、急性期病床については、【7対1、10対1一般病棟入院基本料】から【急性期一般入院基本料】への再編・統合が行われた2018年度診療報酬改定が、病床再編や急性期入院医療費の削減に及ぼす影響を、適切な成果目標(KPI)を設定して評価するよう要請。必要があれば次回、2020年度改定で算定要件のさらなる厳格化を行うべきとの考えを示した(p78参照)。

療養病床では、25対1医療療養病床と介護療養病床からの介護医療院の転換促進について、▽患者の状態像にそぐわない医療療養病床への転換防止▽多床室の室料負担見直しと、転換が進まない場合の介護療養病床の報酬水準の検討▽サービス付き高齢者住宅などへの転換も含めた幅広いダウンサイジング方針の策定-などの政策を着実に進めていく必要があると指摘。診療所や医師数、高額医療機器など、病床以外の医療資源の配置をコントロールする政策の早急な検討も提案した(p79~p80参照)。

国は地域別の診療報酬設定を医療適正化に生かすメニューの提示を

2006年の高齢者医療確保法改正で規定されながら未だ実施例がない、地域別の診療報酬設定にも言及。2018年4月から都道府県が国民健康保険の財政運営主体となった、このタイミングを捉えて、地域別診療報酬の設定を医療費適正化の取り組みに生かすための具体的メニューの提示や、柔軟に活用できるような枠組みの整備を国に求めた(p82参照)。

医薬品の保険収載では現行ルールについて、年4回の新規医薬品の収載が医療の高度化による医療費の増加要因であるにも関わらず、薬事承認された医薬品は事実上すべて保険収載され、その財政影響の検証も行われていないと問題提起。費用対効果評価を活用し、費用対効果が悪い医薬品については保険収載を見送るか、薬価の引き下げといった対応を行うべきとの考えを示した(p62~p63参照)。

介護関係では、▽居宅介護支援についてもほかの介護サービスと同様に利用者負担を設定▽介護老人保健施設、介護療養型医療施設、介護医療院の多床室の室料相当額を基本サービス費から除外▽在宅サービスに総量規制や公募制といったサービスの供給量を自治体がコントロールできる仕組みを導入▽保険者機能強化推進交付金などのインセンティブの活用を通じて各市町村の保険者機能を強化し、介護費の地域差縮減につなげる-などの実施を要求した(p66参照)(p75参照)(p83参照)(p85参照)。


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