鍼灸マッサージ・アロマテラピー、ホリスティック医療は気休め?

  • コラム
  • 宮川明子
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いくつかの条件はあるものの、鍼・きゅうが介護保険の対象になりました。鍼・きゅうマッサージ、アロマテラピー、薬膳などは、教室がいつも満員でニーズが高まっています。これらは「ホリスティック医療」と呼ばれていますが、医療分野の一つとしてどのように扱っていけば良いのでしょうか。

アロマテラピーは香りを楽しむだけのもの?

現在、ホリスティック医療に対して「効果がある」「効く」という言葉の利用は認められていません。そのため、教室などで習っていてもどかしい思いがあるかもしれません。

アロマテラピーはフランスで保険が効く医療の一分野になっており、日本でも学ぶ人が多く見られます。しかし日本ではエッセンシャルオイルが雑貨扱いであり、理論を学ぶ際に「効果」「効く」という言葉を使えません。そして、一般に「香りを楽しむもの」として受け取られるなど誤解が多いものです。

植物の有効成分を凝縮したエッセンシャルオイルは、例えば妊婦の使用を禁じているものがあるなど、知らないと思わぬ事故にあう可能性もあるため注意が必要です。とはいえ「効果がある」という概念がなければ、やはり「使って危険」という表現もできません。フランスの事例はあるものの、それをもとに医療の一分野として定着させることは困難ではないでしょうか。

鍼・きゅうの「未病」の概念は「介護予防」に向いている?

鍼・きゅうは、経験の有無によって受け止め方がまったく違ってきます。鍼は未経験の人にとっては「痛そうで怖い」と思われるのではないでしょうか。きゅうは「おきゅうをすえる」という言葉があるように、あまり良いイメージがないようです。しかし実際に活用している人にとっては体調維持に欠かせないものになっています。

鍼・きゅう、薬膳などの東洋医学には、古くから「未病治(未病を治す)」という概念があります。これは病になってからそれを治すという西洋医学の考え方とは異なり、身体の不調和が病として表面に現れる前に、その根元を治すことこそ大切であるという考え方です。つまり「最近疲れる」「肩が重い」など、日常的に感じる不調が病気になってしまう前に改善するのです。

これは、介護保険の中で力を入れている「介護予防」において力を発揮していくように思います。理学療法や作業療法と一緒に行うことで、効果を上げる方法を研究していければ良いのではないでしょうか。

医療として位置付ける

例えば、野球選手が鍼治療を受けて肩の具合が悪化したと言われたら。本当にそれくらい身体に反応するなら、「効果という言葉を使ってはいけない」などとは言っていられません。しかしこれは、本当に鍼で悪化したと言えるのでしょうか。

鍼・きゅうの施術者になるには国家資格が必要であり、怪しい民間伝承ではありません。気休めならば介護保険に組み入れるべきではありませんし、「治る」「効く」という言葉を使えないままでは、ケアプランを立てるときに困ります。

現在は、血液検査や尿検査などで得られる数値が明らかに変化していることを「効く」「治療」と位置付けます。しかし鍼・きゅうは、短期間で数値が変化しないことも少なくありません。症状に対してどのような施術を行い、その結果、どのような「効果」「副作用」があるのかを明確にする。それによって、医療の一分野としての地位を築きたいものです。機能訓練指導員として訓練に参加するのであれば、理学療法や作業療法と並ぶ医療的なサービスとしなければ、保険対応にする意味がないでしょう。

ホリスティック医療は「代替医療」と呼ばれています。しかし、西洋医学の治療を否定しているわけではありません。いつまでも「効果」「効く」という言葉が使えないのは、やはり無理があるでしょう。鍼・きゅうがプラシーボや気休めなら、千年以上も続いていないはずです。鍼・きゅうが介護保険として位置付けられたことを機会に、ホリスティック医療を認め、どのように共存していくのかハッキリさせる必要があると思います。

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