管理者要件変更の背景と3年後予測

18年度の居宅介護支援にかかる基準改定のうち、現場に困惑をもたらしているものの一つが「管理者要件の見直し」、つまり「管理者を主任ケアマネに限定する」ものです。ケアマネジメントの質の向上を目指した施策というのが名分ですが、もう少し掘り下げたうえで円滑な施行となるのかどうかを探ります。

「管理者=主任ケアマネ」議論はどこから?

今回の見直しのきっかけは、介護給付費分科会で提示されたデータです。それによれば、「事業所内検討会を定期的に開催しているか」、「事業所のケアマネに対して同行訪問によるOJTを行なっているか」などの質問で、いずれも「管理者=主任ケアマネ」の方が割合は高くなっています。こうしたデータをもって、事業所のケアマネジメントの質向上に資するというのが見直しの主たる背景です。

しかし、それだけでしょうか。居宅介護支援にかかる報酬改定などを精査してみると、もう一つの背景が浮かび上がってきます。

今回の報酬改定では、特定事業所加算の現行I~IIIに上乗せさせる形での新区分IVが誕生しました。これは、退院・退所加算やターミナルケアマネジメント加算の算定実績が要件となっています。いずれも対医療連携がポイントとなる加算で、ダブル改定となる診療報酬側でも対応する見直しが行われました。

医療側から見た対ケアマネ連携という背景

上記で述べたとおり、新IVはI~IIIの算定が前提となります。I~IIIの要件で共通するのが「主任ケアマネを配置している」ことです。言い換えれば、新IVを算定するために「退院・退所加算やターミナルケアマネジメント加算の算定実績を上げよう」とする事業所は、必ず主任ケアマネがいることになります。

連携する医療側からすれば、「入退院支援や在宅での看取り対応に際して、円滑な対応が期待できるのは実績がある居宅介護支援事業所である」という見方は当然あるでしょう。そうした事業所に増えてもらうためのインセンティブとして、特定事業所加算の新IVは医療側としても歓迎できる見直しといえます。

この流れで医療側の賛同が得られれば、自動的に「居宅介護支援事業所に主任ケアマネがいること」も、医療側にとっては「当然のこと」という認識につながります。

ちなみに、主任ケアマネの更新研修カリキュラムを見ると、「対医療連携」から一歩進んで「入退院時等における医療との連携」にかかる事例演習なども組まれています。今回のダブル改定を見てもわかる通り、地域包括ケアシステム構築の中で、「入退院や在宅を含めた切れ目ない医療(つまり、介護側にも深くかかわってくる存在としての医療)のあり方」にますます重きが置かれようとしています。

これを軸とした場合、それに対応できるケアマネスキルを再編成する目的として、国は「管理者=主任ケアマネ」という施策を打ち出したのではないでしょうか。つまり、これは「介護保険の第2医療保険化」的な流れの中で位置づけられる施策というわけです。

3年後、思わぬ横やりが入る可能性も!?

さて、今回の見直しでは、「主任ケアマネでない一人ケアマネにとっては存続問題にかかわる」という点が指摘されています。しかし、上記で述べたように国の視点はそうした課題よりも、あくまで医療主導におけるケアマネの位置づけに向いていると考えられます。その意味では、3年後に設定されている経過措置期限は、(たとえ一人ケアマネ事業所の激減などの結果が生じたとしても)そのまま動かない可能性は高いのかもしれません。

ただし、状況を一変させる事態が生じることも考えられます。それは厚労省外、具体的には公正取引委員会(以下、公取)や会計検査院による指摘が出てくることです。

公取では、16年に「介護分野に関する調査報告書」が出されました。混合介護の緩和に向けたたたき台として注目された報告ですが、その中では長年介護現場で課題となっているローカルルールの存在を「解決すべき問題」として指摘しています。また、会計検査院については、周知のとおり特定事業所集中減算について「合理的で有効な施策ではない」という厳しい指摘が記憶に新しいところです。

今回の見直しが、仮に「一人ケアマネの参入や存続を阻む」という議論に及んだ場合にどうなるでしょうか。公取や会計検査院などからは、たとえば、「被保険者への公正なサービスを目指すうえで、中立的立場に立ちやすい一人ケアマネの存続を脅かす施策には問題があるのでは」という見方が出てくる可能性もあります。これから3年の間、どこからどのような議論が出てくるのか注視が必要です。

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