オンライン診療の指針、次回とりまとめへ 厚労省検討会

情報通信機器を用いた診療に関するガイドライン作成検討会(第2回 3/9)《厚生労働省》

厚生労働省は3月9日に開かれた、「情報通信機器を用いた診療に関するガイドライン作成検討会」に、「オンライン診療の適切な実施に関する指針」の案を提示した。

オンライン診療とオンラインでの受診勧奨を行う際の基準を望ましい事例や不適切事例なども交えて示した。オンライン診療は再診に限定し、初診や急病急変時、新たな薬を処方する際の診療は原則対面で行うことや、急病急変時を想定して患者が速やかにアクセスできる医療機関で対面診療が行える体制をあらかじめ整えておくことなどを求めている。次回の検討会でとりまとめを行う予定。

指針案は、「遠隔診療」を、情報通信機器を活用した健康増進、医療に関する行為、「オンライン診療」は遠隔診療のうち、医師・患者間で情報通信機器を通して患者を診察・診断し、診断結果を伝達するなどの診療行為をリアルタイムで行う行為、と定義。指針では、オンライン診療(情報通信機器の操作方法を説明するオンライン診療支援者が介在するケースも含む)と、オンラインで医療機関への受診勧奨をリアルタイムで行う「オンライン受診勧奨」を適用対象にする考えを示した。診断などの医師の医学的判断を伴わない「遠隔医療相談」は適用対象外となる(p8~p9参照)。

診療計画の内容や対面診療との組み合わせが必須であることを事前説明

オンライン診療の実施は患者と医師双方の事前の合意形成が前提だが、指針は患者の合意の取得に先立って、医師が患者に対して▽オンライン診療で得られる情報は限られるため対面診療との組み合わせが必要▽オンライン診療の都度、医師が実施の可否を判断する▽診療計画の内容-を説明することを要求。合意取得の際には、「患者がオンライン診療を希望する旨を明示的に確認すること」とした(p12~p13参照)。

対象患者は、初診以外で、「対面診察と同等ではないにしても、これに代替し得る程度の患者の心身の状態に関する有用な情報をオンライン診療で得られること」と明記。同一医師による対面診療との組み合わせを原則とするが、1人の患者に対して複数の医師が交代で対応する場合は、全ての医師が1度は対面診療を行っておく必要があることを示した(p13参照)。初診、急変時でも患者がすぐに適切な医療を受けられない状況にある時などは例外的にオンライン診療を容認。ただし、その場合もオンライン診療後に対面診療を行うことを義務づける考え(p13参照)。

オンライン診療実施にあたってのルールを定める「診療計画」には、▽オンライン診療で行う具体的な診療内容(疾病名、治療内容など)▽オンライン診療と直接の対面診療、検査の組み合わせに関する事項(頻度やタイミング等)▽診療時間に関する事項(予約制等)▽オンライン診療の方法(使用する情報通信機器等)▽オンライン診療を行わないと判断する条件と、条件に該当した場合に対面診療に切り替える旨(情報通信環境の障害も含む)-を最低限盛り込むことを要求した(p14~p15参照)。

オンライン診療の提供場所については、医師は必ずしも医療機関でオンライン診療を行わなくてもよいが、医療機関にいる場合と同程度に患者の心身の状態に関する情報を得られる体制や、急変時に患者が速やかに医療機関で対面診療を受けられる体制を整えておく必要はあることを示した。患者のプライバシーに配慮し、物理的に外部から隔離された空間で実施することも必須要件として求めた。患者の居場所は通常の診療と同様、病院、診療所などの医療提供施設や、患者の居宅などと規定。居宅には自宅以外にも「療養生活を営むことのできる場所」が該当するが、指針案は、患者の職場や宿泊するホテルなどもこの中に含まれるとの解釈を示した(p18~p19参照)。

医療情報システムとの接続の有無などでセキュリティ対策を整理

情報セキュリティ・利用端末では、医療情報を保存するシステムとの接続・連携の有無、映像・音声以外のデータのリアルタイムでのやりとりの有無などで4つにカテゴリ分けし、それぞれ必要な対策を記載した(p21~p22参照)。

医療情報システムと完全に分離されている場合は、患者、医師とも個人端末の使用が可能だが、患者宅にある医療機器のデータやオンライン診療時の映像の一部を電子カルテシステムに保存するなど、医療情報が保存されたほかのシステムと接続・連携した状態で診療する場合、個人端末の利用は不可で、患者には専用の端末を貸し出す必要がある(p21参照)。患者がスマートフォンを利用する場合は、接続するオンライン診療システム・サービスへの不正アクセスを防止するため、▽本人確認(認証)の実施(JPKIを活用した認証、端末へのクライアント証明書の導入、ID/パスワードの設定など)▽端末内にデータを残さない▽ウイルス対策ソフトの導入、OS・ソフトウェアのアップデートの実施を求める-などの対応が必要不可欠であることも示した(p20~p21参照)(p22~p23参照)(p26参照)。

指針案についての議論では、オンライン診療に患者が合意した記録を何らかの形で残すべきとの意見や、オンライン診療システム・サービス事業者の第三者認証や医師を対象にした研修の実施を求める意見が出た。また複数医師が交代でオンライン診療を行う場合に、全ての医師に事前の対面診療を義務づける規定には、医療提供側の構成員が、在宅医療の提供に支障が出る可能性があると懸念を表明。一定の要件を満たす場合は、規定を緩めるなどの修正を加える見通しとなった。


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