介護夜勤問題こそ総合戦略の対象に

日本医療労働組合連合会(以下、医労連)が、2017年の介護施設夜勤実態調査の結果を公表しました。13年から毎年実施されている調査ですが、もともと厳しい状況がここへ来てさらに強まっている様子が浮かんでいます。

夜勤問題で人手不足が負のスパイラルに

今回の調査で目立つのは、「2交代制」のシフト割合が92.5%に達していることです。14年の86.8%から右肩上がりが続き、逆に「3交代制」の割合は低下しています。

問題は、「2交代制」のうち「16時間以上の夜勤」が8割超であるうえ、2交代制の夜勤回数が「月4.5回以上」という割合も増えており、13年調査から約1.5倍の伸びを見せています。勤務明けから次の勤務までの間隔が「12時間未満」という施設も2割あります。

深刻化する人手不足状況を反映した数字とも言えますが、厳しさが右肩上がりとなれば、「夜勤のある職場を敬遠する」という傾向も強まることは確実です。人手不足に拍車がかかるという負のスパイラルが生じかねません。

「1人夜勤」は法治的にも許されないのでは

この状況を根本から変えるには、少なくとも「1ユニットで夜勤配置2人以上」を基準で明確に定め、夜勤上限を定める「夜勤協定」の取り決めを義務化することが必要ではないでしょうか(加算要件などではなく、あくまで最低基準として定める)。もちろん、基準のハードルを上げるとなれば、「事業継続に見合った基本報酬」を議論する必要があります。しかし、「現場を支える人を守る」という一線は、「働き方改革」を主導する政府としては譲れない部分のはず。そこを根本的なスタートラインとすることは、施策方針との整合性を考えた場合にも譲れない部分でしょう。

そもそも、対象者の健康上・安全上のトラブルが想定される事業(その想定がなければ介護保険はいらないはずです)で、「1人でトラブル対処をこなす」のは困難です。

たとえば、利用者に重大事故が生じた場合、本人に対する「経過観察」と「通報や救命処置の(AED等)の準備をほぼ同時並行で行なうことが求められるケースもあります。

どちらかが遅れたり不十分となった場合、それゆえに「重大な結果をもたらす」ことになれば、それは業務上の「過失」となりかねません。つまり、「1人夜勤」は、過失の発生確率を高めるという点で、法治上でも認めてならないことが前提となるべきです。

今改定でも新規の「夜間対策」は見られるが

上記はあくまで前提となる要件です。そのうえで考えたいのは、「夜間を中心とした利用者の事故等リスク」を軽減に向け、一現場の取組みだけに頼らないしくみを作ることです。

たとえば、医療機関に入院していた利用者が、新規もしくは復帰という形で施設等を利用するとします。その段階で、認知症のBPSDが一定以上緩和され、多剤投与の状況が改善されていれば、夜間のせん妄やふらつき、転倒等のリスクは相当に抑えることができます。これを地域の医療機関などが、責任をもってしっかり行なうことができれば、介護側の夜勤負担もかなり改善されるでしょう。

ちなみに、今回の介護報酬改定案を見ると、たとえば老健において、「かかりつけ医と連携しながら、多剤投与の利用者の減薬への取組みを進める」ことを要件とした加算が設けられました。また、夜間における利用者の容態悪化を想定し、特養の配置医師と協力病院の連携などによって夜間・早朝に利用者への訪問診療を行なうことを評価した「配置医師緊急時対応加算」も生まれています。

つまり、厚労省としても、夜間等のリスク軽減についてはそれなりに新規の施策は打ち出しているわけです。しかし、これらはいずれも「体制等の確保」を要件とした加算であり、地域で一律に保障されるわけではありません。こうした「安心に向けた施策」を一律のものとするなら、地域の医師会や拠点病院に対して、介護現場の夜間支援を法的に義務づけるなどの強い踏み込みが必要でしょう。

考えてみれば、4月から完全施行される認知症初期集中支援チームなども、介護現場への初期支援まで含めた運営基準とすれば、施策効果は大きく上がってくるはずです。加算などをつぎはぎしていくのではなく、大きな方針のもとに「夜勤軽減総合施策」として既存施策を含めた資源の総動員を図ること。まさに、喫緊の課題である「介護人材確保戦略」にもぴったり符号するのではないでしょうか。

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