ロボットは夜勤の仕事を変えるか

  • コラム
  • 宮川明子
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介護分野にも、さまざまな形でICTが導入されてきました。そんな中、職員の負担を減らして利用者へのサービスの質を向上させるには、どのようなことに気を付けていけば良いのでしょうか。

 

タブレットやスマホ端末による情報共有

現在、申し送りは紙に書いた後に口頭で行うことが多くなっていますが、ペーパーレス化が推進されていることもあり、これをICT化するケースも増えているようです。

ICTを使うと、例えばタブレットやスマホ端末に利用者の様子を書き込めば、今一緒に勤務している職員全員でその情報を共有できます。忙しい中では利用者からの頼みに対して、「少し待ってください」と言わざるをえない状況があるでしょう。これはあまり言いたくないことですが、職員一人ひとりが抱えている仕事が多すぎて、なかなか対応できないことがあるものです。すると、その利用者は複数の職員に頼むこととなり、全員が「Aさんからの頼み」を聞いて仕事が被ってしまいます。このときタブレットやスマホを持っていれば、最初に受けた職員が利用者からの頼みを入力し、一番近くにいる職員がすぐ対応できるようになります。

これまで夜勤時に日誌から各ケースファイルにまとめて書くことで作成していましたが、タブレットに入力すればかなり時間に余裕が持てるでしょう。看護師が常駐しない施設の夜勤職員にとって、利用者の急激な症状の悪化や徘徊が増えることは大きな負担となっています。そのため、施設の各部屋に専用の端末を設置し、看護師が365日24時間常駐したコールセンターを設け、この看護師から指示を受けることができるといった方法も提案されているのです。その結果として救急車を呼び、付き添うことになったとき、タブレットで各部屋の様子を見られればとても心強いと思います。

これまで自宅で自分や家族がやっていたケアでも、夜間の看護師がいないという理由で受け入れられなかった方は多いでしょう。しかし、タブレット越しに病院の指示のもとで介護職員が行えるようになれば、受け入れが可能となるかもしれません。

人の気持は人にしか分からない

介護施設や在宅介護でロボット技術を用いた見守り機器を備えれば、情報が自動で夜勤職員に知らされることで見守りが可能となり、巡回回数を減らすことが可能です。

例えばAさんは夜間にトイレに行った後、居室に戻れなくなり、間違えて女性の居室に入ってしまって大騒動になったこと数回。寝たきりではないためマット型のものではなく、ドアを開けたら反応するものを導入し、トイレに行ったときに見守れるようになりました。

利用者にとって質の高い介護を提供するため必要なことは、ロボットの分だけ人手を減らすことではありません。省力化した分を、人間にしかできない介護をすることが大切です。ロボットを使って時間に余裕ができたら、ゆっくり気持ちをくんで対応できるでしょう。これは、コミュニケーションロボットには対応できないことだと思います。

ロボットは技術が進歩し、かなり正確に受け答えしてくれるようになりました。これは会話していくうちに、ロボットが言うべきことを学習しているからです。そのため、普段の雑談レベルなら、それで納得できて気分が良くなるのであればメリットはあるのでしょう。

しかし人の感情は、やはりロボットには分からないものだと思います。夜間の不安な気持ちは、人にしか分からないものなのです。

夜勤職員が1人しかいないのに、何度もコールを鳴らし続ける人。そういった対応を職員で共有し、寄り添った介護ができるようになれば、ロボット導入で効果があったと言えるではないでしょうか。このシステムが機能するためには、環境や個人差をどれだけ取り入れてデータ化できるかがポイントです。

「見える化」と言われていますが、人の言動を数値化するのは難しいでしょう。動きや言動をどれだけデータ化できるかがロボットの担う部分であり、それによって利用者のケアにかける時間が増えるのであれば、今後は人間にしかできないケアを考えていきたいものです。

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