【不正請求】島根県「株式会社 エー・サポート」の事業所指定の取消し

島根県は、雲南市三刀屋町下熊谷にある「訪問介護事業所ゆかり園」において、介護保険法第77条第1項第6号で定める不正請求があったとして、事業所指定の取消しを発表した。処分の対象事業者は、訪問介護事業所ゆかり園を運営する株式会社エー・サポート(代表取締役 足立孝之、所在地 安来市古川町)。処分内容は事業所指定の取消し、指定取り消し年月日は2017年12月27日付となっている。

取消しに至った経緯、取消し理由

事業所指定の取消し理由は、介護訪問を行っていないにもかかわらず、記録をあいまいにして介護報酬の不正受給を度々繰り返していたというもの。株式会社エー・サポートが運営する訪問介護事業所ゆかり園は事業所の指定取消しだけでなく、介護予防訪問介護の指定も取消されることになる。

訪問介護事業所ゆかり園による介護報酬の不正受給額は300万円以上にのぼり、不正件数は2014年から2015年にかけての数ヶ月間だけで1,000件を超えている。非常に悪質なケースでありながら、県の調べに対して「訪問担当者のミスが重なっただけで、悪意のある不正ではない」などと、事業者の弁明には反省の様子がうかがえない。

なお、介護保険を管理する島根県雲南広域連合(島根県雲南市木次町里方)は株式会社エー・サポートに対して、不正受給額の全額返還を求めていく方針だ。

不正請求の具体的な事例

処分に至った具体的な事例として、以下の不正請求(介護保険法第77条第1項第6号)が行われていたことが内部調査によって明らかになっている。

  1. 出勤簿に記載されていない時間帯に訪問介護を行ったとして、介護報酬を不正に請求して受領した。
  2. 1人の訪問介護職員が、同じ時間帯に複数の利用者宅で訪問介護を実施したとする虚偽の報告書を提出して介護報酬を受領している。
  3. 訪問介護の事実と異なる内容のサービスを提供したとする虚偽の記録を、県の検査時に提出した。

島根県によると、訪問介護事業所ゆかり園では訪問介護職員が実際に出勤していないにもかかわらず、出勤したという虚偽の報告書を提出して介護報酬を受領していること。また、同時刻に1人の介護職員が複数の利用者宅へ訪問して介護を行ったことにするなど、明らかに虚偽報告とわかるずさんな運営を続けていた。処分の種類には「指定業者の取消し」「全部停止」「一部停止」などがあるが、訪問介護事業所ゆかり園における処分は、「指定業者の取消し」というもっとも厳しい処分内容である。

本件は不正請求の件数がわずか8カ月間で1,000件以上にのぼるなど、非常に悪質なケースといえるだろう。県の内部調査に協力せず虚偽の弁明を繰り返すなど、反省の様子は見られない。そのため、今後も同じ事案を繰り返す恐れが高いことなどが、処分決定の理由とされる。

「指定業者の取消し」の処分は、複数の事案が重複した悪質なケースに適用される。これを受けると介護事業が行えなくなるため、場合によっては倒産も避けられない。

不正請求などによる指定取消しが過去最高を記録

2015年度に全国で介護報酬を請求した33万6,602事業所のうち、不正請求などで事業者の取消し、および効力の停止といった処分を受けた施設や事業所の数は200件以上にのぼる。この数字は過去最高を記録しており、年々増加する傾向が見られる。これから超高齢化社会に突入し、介護サービスが増加の一途をたどる現状を考えると、不正請求は国の根幹を揺るがす見逃すことができない事案であろう。

不正請求などを行う悪質性の高い事業所が増加する中、厚生労働省では介護サービス事業者による不正事案防止、そして介護事業の運営を適正化するための制度改革を検討している。

■島根県「0148 訪問介護事業所の指定の取消しについて」
http://www3.pref.shimane.jp/houdou/press.asp?pub_year=2017&pub_month=12&pub_day=27&press_cd=AA7DC741-AD93-48ED-93B5-A90E51BE3CA7
■厚生労働省「介護事業運営の適正化に関する有識者会議報告書」
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/12/s1203-7.html

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