3年後を見すえて考えるべきこと

2018年が訪れます。介護報酬・基準の改定をはじめ、改正介護保険法等の本格施行、在宅医療・介護連携推進事業の完全実施など、大きな変化が一気にやってきます。目先の対応に手一杯となりがちですが、あえて「さらに3年後を見すえる」ことを考えます。

私たちが選択できる介護保険の未来を求めて

介護現場の人々にとって、「さらに3年後など見すえる余裕はない」というのが実感かもしれません。しかし、国が推し進める制度の見直しは、すでに2025年(あと7年)以降を視野に入れています。3年後に再び訪れる報酬・基準改定は、2025年に向けた総仕上げであり、今回の改定以上の激流が予想されます。

その時に、介護保険制度が今の姿であるか否かについて、悲観的な観測をする人もいるでしょう。「ますます第2医療保険化が進み、介護業務に従事することの存在意義が失われていくのでは」という人もいるかもしれません。ここで考えたいのは、介護保険の主人公は、あくまで利用者とそれを支える現場の人々であること。つまり、一部の施策者ではなく、私たちが選択できる未来もあるはずという希望を失ってはならないということです。

そのためにも、これから3年後に国がやろうとしていることをきちんと見極め、自分たちの選択に向けて何を準備し、何ができるのかを考えていくことが大切となります。

前々回改定で布石が打たれていた機能向上策

さて、毎回の報酬・基準改定を見ると、一種の「観測気球的」なポイントを見ることができます。その段階では微小な改定というケースであっても、「いつしか拡大できるように布石を打っておく」というわけです。

分かりやすい例が、今回の改定案で適用範囲が広がった生活機能向上連携加算です。これは、2012年度改定で訪問介護に初めて創設されたもので、2015年度改定では連携対象に通所リハビリも含まれました。現在でも算定事業所はわずかですが、創設当時はさらに「算定はレアケース」であり、現場では「この加算の持つ意味は何か」が話題となりました。

しかし、これを先の「観測気球」と見た場合、「厚労省としては、将来的にサービス横断のスタンダードなしくみにしたいのでは」という予測が成り立ちます。そして、その通りになったというのが今回の改定案です。

では、今回の「観測気球」的な改定ポイントはどこにあるのでしょうか。それが、通所介護における「利用者の心身機能の維持・改善にかかるアウトカム評価」の創設です。

通所介護のアウトカム評価、3年後の姿は?

今回の改定でも、さまざまなサービス上の取組みに対する評価加算が誕生しましたが、ほとんどは「体制」や「プロセス」を要件としているものです。では、アウトカム評価についてはどうでしょうか。現行では、予防通所介護等の事業所評価加算や老健における在宅復帰率の評価、訪問・通所リハビリの社会参加支援加算などがあります。しかし、心身機能の維持・向上を要介護度以外の客観的スケールで評価するのは初のケースといえます。

確かに、自立支援・重度化防止という方針の中で、サービスのアウトカム評価は比較的クローズアップされていた課題です。しかし、クリームスキミング(アウトカムの改善が見込まれる利用者を選別すること)の発生が懸念されるなど、要件設定の困難さが伴います。結果として、重度者要件などと組み合わせつつ、今回は通所介護のみの算定となりました。

しかし、これを「観測気球的なもの」と見れば、3年後には対象サービス拡大に向けた布石となる可能性があります。「通所介護だけ」であったものが、特養やGH、訪問介護などにも拡大していくことも考えられ、「サービス評価のスタンダードとなっていく」わけです。

この点を頭に入れたとき、現場として考えるべきことは何か。それは、今回の給付費分科会の議論でも上がっていた「機能向上=利用者の生活の質向上や尊厳保持」となるのかという点です。つまり、先々を見すえた場合、現場として「生活の質」や「尊厳保持」にかかる評価指標ができないかどうかを模索することが必要です。そのうえで、業界団体や職能団体の「科学的見解」へと集約し、国民的な議論へと高めていかなければなりません。

2018年は初頭から慌ただしくなります。しかし、そんな中でも、「利用者にとってこのサービス(たとえば自立支援介護など)は『その人らしさ』に本当につながっているのか」を現場の中で地道に検証していきたいものです。そうした風土の蓄積が、3年後「介護保険を現場に取り戻す」第一歩となるはずです。

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