混合介護モデル事業、利用者保護の規定や計画策定を義務化へ ケアマネの関与も―豊島区・有識者会議

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《 豊島区の有識者会議 26日 》
これまで多方面から指摘されてきた問題点が顕在化しないようにできるだけ配慮した――。そうした姿勢がうかがえるが、慎重論を唱える多くの関係者を納得させられるかどうかは不透明だ。

いわゆる「混合介護(*)」を展開していけないか検討している東京都・豊島区は26日、来年度からスタートさせるモデル事業の内容を固めた。

利用者を保護するための規定を契約書で整備し、その内容の遵守や丁寧な説明を徹底させていく。保険者側でも専用の窓口を開設し、本人・家族の相談にタイムリーにのれる体制を整える。ケアマネジャーの関与も明確にした。保険内・外を問わない総合的なケアマネジメントを前提とし、保険外のサービスもケアプランに位置付ける決まりとする。サービス担当者会議などを通じて必要な情報を共有したり、1ヵ月に1度は事業者から報告を受けて状況を把握したりすることで、全体をチェックしていってもらう構想を描いている。この日の有識者会議で提案し、大筋で了承を得た。

混合介護
介護保険が適用されるサービスとされないサービスを組み合わせること。厚生労働省はこれまで、保険内・外を明確に区分するよう現場を指導してきた。必要に応じて両者を同時・一体的に提供できるようになれば、保険外を使う余裕のある高齢者の選択肢が広がるとみられる。東京都や豊島区は「選択的介護」と呼ぶ。事業者のビジネスチャンスが大きく拡大したり、ヘルパーの収入源が増えたりするメリットも期待されている。

まずは訪問介護がメイン

「利用者が不当に料金を取られてしまう」「自立支援の理念がますます形骸化する」。こうした批判を念頭に予防線を張った。種々の制約によって事業者を縛ったうえで混合介護を試行していく、という趣旨だ。来年1月にも参加企業の公募を始める予定。豊島区内に事業所があり、一定のマネジメント力や人員体制があることなどを要件とする。準備期間を経て8月にも開始し、2020年度末にかけておよそ2年半にわたり実践する計画だ。

来年度はまず訪問介護をメインとする。在宅の高齢者のニーズを見込み、同居する家族の分の調理や洗濯、ペットの世話、庭の手入れ、電球の付け替え、日用品以外の買い物、長時間のコミュニケーションなどを連続的、あるいは一体的に提供していく。自費による外出支援をフレキシブルに組み合わせる形も試す。見守りのためのICT機器を上乗せ料金で導入・運用するサービスもテストする。

事業者への制約は少なくない。保険外サービスの提供計画を別途作り、利用者の同意を得ることも求めるとした。この提供計画をケアマネと共有することも義務付ける。このほか、実地指導やケアプラン点検に取り組む意向も示された。利用者保護の規定を盛り込む契約書については、関係者と協議して標準的な様式を定めるという。こうしたルールが将来的に、混合介護の1つのひな形として参考にされる可能性もある。

焦点は特区認定

混合介護をめぐっては、東京都が国家戦略特区の枠組みで推進したいと政府に働きかけてきた経緯がある。都は近くこうしたモデル事業の内容を説明し、柔軟な実施を認めるよう改めて注文する方針だ。政府はどう反応するのか? それが当面の焦点だ。思い切って広く要望を受け入れた場合、モデル事業でより踏み込んだトライアルを行う道が開かれる。再来年度以降になれば、デイサービスの時間内の買い物支援やヘルパーの「指名料」の実験などにも発展していく。政府が逆の判断を下せば、「保険内・外を区分する」という今の規制の下で許される限定的な試みにとどまりそうだ。

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