現場が備えるべきこと(3) 自立支援強化

2018年度の介護報酬・基準改定に向け、現場として準備しておきたいことは何か。今回は、今改定の主要テーマである「自立支援・重度化防止の強化」に向けた、サービス横断的な改定について取り上げます。ここでも、「見えにくい現場の負担増」が見込まれることを頭に入れつつ、早期の対策が求められてきます。

機能向上連携の拡大はケアマネにも影響大

各サービスを横断的に見た場合、広範囲の改革となったのが「生活機能向上連携加算」の適用が大きく広がったことです。現行の訪問介護に加え、定期巡回随時対応型サービス、そして通所介護、短期入所生活介護、GHという具合に訪問系以外にも拡大しています。また、特養ホームや特定施設における機能訓練に対しても、外部のリハビリ職・医師との連携が推進されることになりました。

注意したいのは、この連携拡大によって、各サービス担当者(訪問介護で言えばサ責、通所介護ならば相談員)による連携業務がポイントになるだけでなく、居宅ケアマネの業務のあり方にも大きな影響がおよぶことです。

たとえば、訪問介護事業者が生活機能向上連携加算を算定する場合、訪問・通所リハビリのスタッフとの同行訪問やその他の連携手段によって訪問介護計画を策定、または変更する(この見直しにより算定期間の延長が可能)という流れが生じます。訪問介護計画の見直しに際しては、ケアプランの目標設定などにも変更が生じる可能性があります。つまり、上記の連携強化の中で、ケアマネも密接にかかわる必要性が生じることになります。

担当医同士の見解相違がケアマネを悩ます!?

この加算の適用サービスの範囲が(通所介護や短期入所まで)広がり、同時に、介護保険のリハビリ系サービスのみならず、医療機関のリハビリ職や医師も連携対象となったわけです。ケアマネとしても、「どの機関のどの担当者と、どのように連携すればよいか」という業務範囲を考えなければなりません。

特に、連携対象として医療機関が加わった点には注意が必要でしょう。たとえば、以下のようなケースも想定されます。

利用者に認知症があり、主治医の一人に認知症専門医がかかわっていたとします。リハビリを行なう医療機関の医師も認知症については相応の知識はあるはずですが、時として認知症専門医との間で「意見の相違」が生じることもあります。特に、性急なリハビリの進め方が、認知症の人のBPSDに影響を与える恐れがあるといったケースです。

その時、異なる主治医間の見解に生じるズレに対し、ケアプラン作成上で頭を悩ますという場面も生じかねません。もちろん、これまでも、複数の担当医間の見解を調整するという場面はあったでしょう。しかし、今回の改定により「介護保険での機能向上に対して、医療機関が一種の司令塔になる」という傾向も強まるわけで、そうなれば「ケアマネジメントの進め方」そのものに、特定の医療機関の意向が入り込みやすくなります。

機能向上連携強化に向けた地域の勉強会も

上記のような状況を考えたとき、事業所として以下のような準備を進めておきたいものです。(1)地域で、介護保険の機能向上連携にかかわる可能性のある医療機関(リハビリ系サービスを運営する医療法人など)をリストアップする。(2)地域のケアマネ連絡会や付き合いのある看護・リハビリ系サービスの担当者から、(1)の医療機関の評判や医師の見解の傾向などの情報収集を行なう。(3)普段から付き合いのある(リハビリ系医療機関との見解相違が生じそうな)認知症専門医やその他の主治医に対し、今回の機能向上連携強化について説明して理解を得ておくという具合です。

一方、加算を算定する側であるサービス事業所の方ですが、問題なのは、こうした連携に慣れていない事業所が大半であると想定されることです。現行の訪問介護における生活機能向上連携加算の取得率は、対訪問リハで0.7%、対通所リハで1.4%にとどまります。この調査では、無回答が40%以上を占めるので実際にはもう少し数字が上がると思われますが、それでも取得率の低さが目立ちます。

仮に基本報酬が下がる場合、収支改善のために新規で加算取得を目指そうとする事業所も増えるでしょう。その際、「機能向上連携(外部のリハビリ職や医師との連携)にかかる経験不足」から、現場でさまざまな混乱が生じる懸念もあります。そのしわ寄せは、当然、ケアマネにも及ぶことになります。この点を考えたとき、ケアマネ側の連絡会とサービス事業所側の連絡会などが協働し、機能向上連携にかかる勉強会なども開催したいものです。

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