通所介護の自立支援に必要な「土台」

11月8日の介護給付費分科会では、通所介護の報酬・基準改定の方向性が示されました。ポイントがいくつかある中、ここでは「個別機能訓練加算」のあり方についてとりあげます。通所介護での自立支援・重度化防止が重要な課題となる中、個別機能訓練をどのように推し進めていけばよいかが問われています。

通所介護でも生活機能向上連携加算導入へ

通所介護における個別機能訓練加算の取得率を見ると、Iで23.4%、IIで35.5%と決して芳しい数字ではありません。特に小規模事業所での取得率の低さが目立ちます。その背景として、「機能訓練指導員を専従(Iの場合は常勤要件もプラス)で配置することが難しい」という事情が目立っています。事業所として、個別機能訓練を行なおうという意思はあっても、(リハビリ専門職などの)必要な人員確保が追い付いていないわけです。

この点を問題視した厚労省は、必要な人員が確保できない事業所でも「個別機能訓練にかかる評価」ができる道を探りました。そこで提案されたのが、機能訓練指導員を確保する代わりに「外部のリハビリ専門職との連携」でも一定の評価を行なうというものです。

連携の対象は、訪問・通所リハビリ、もしくはリハビリを実施する医療機関のPT、OT、ST、そして医師。つまり、訪問介護等で(医療機関のリハビリ専門職も連携対象に加えるという)見直しが提案された生活機能向上連携加算を、通所介護でも創設するというわけです。訪問介護の生活機能向上連携加算が誕生したとき、「いずれは通所介護にも導入されるのでは」と予測する声がありましたが、それが現実になろうとしているわけです。

自立支援効果を上げるために必要な踏み込み

ただし、こうした見直しだけで、個別機能訓練加算の取得率が伸びるのか、さらに言えば「個別機能訓練の効果が上がるのか」という点では、もう一歩踏み込みが必要ではないでしょうか。機能訓練の効果というのは、単に運動機能等の向上を図るというだけでは足りません。加えて必要なのは、「通所で行なった訓練」が「在宅での生活行為」にきちんと結びつくかという点です。この点をきちんと担保できるサービス提供がなされなければ、個別機能訓練も意味をなさなくなります。

この点をカバーするべく、現行の個別機能訓練加算でも、「事業所の職員が利用者の居宅を訪問し、ニーズを把握するとともに利用者の居宅での生活状況を確認する」ことが求められています。外部のリハビリ専門職等との連携が要件となった場合、そうしたリハビリ職と「一緒に利用者宅を訪問する」か、あるいは「事業所の職員が訪問した後に情報を外部のリハビリ専門職と共有する」といったしくみも求められることになるでしょう。

ここで問題なのが、誰が利用者宅を訪問するのかという点です。介護人材の確保が難しい状況では、日中のサービス提供時間帯に現場の介護職をあてるのは、特に小規模事業所では困難が想定されます。となれば生活相談員ということになりますが、こちらも必要な人員確保は決してたやすくないでしょう。

一つ間違えれば、限られた生活相談員の長時間労働を助長しかねません。今回の分科会では、延長加算の拡充が「職員の長時間労働を助長する」という懸念が持ち上がっています。個別機能訓練加算の見直しでも、同様の課題がつきまとうことになるわけです。

「利用者宅訪問」の質を上げるための施策を

現状では、個別機能訓練加算の取得が困難な理由の中で、「居宅訪問ができないから」という回答は1割以下にとどまっています。この数字だけを見れば、「さほど大きな問題ではない」と思われるかもしれません。しかし、そこには「訪問内容の質を度外視している」という課題が隠れている可能性があります。

そもそも、通所介護においては、機能訓練の内容にかかわらず、「利用者が通っていない間の居宅生活にも気を配ること」が重要なテーマであるはず。その点を考えたとき、利用者宅への訪問にかかる労力をきちんと評価することが欠かせません。その評価のためには、通所介護の基本報酬の中で、「利用者宅訪問」を想定した部分の上乗せが必要です。

事業所として利用者の居宅生活をきちんとモニタリングする──この屋台骨が揺らいでは、どんなに個別機能訓練加算の評価を引き上げても自立支援・重度化防止の効果は中途半端になってしまいます。職員、特に生活相談員の業務実態を踏まえつつ、サービス提供の土台をきちんと固めることが不可欠です。

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