要介護度の改善で交付金 通所やケアマネの取り組みも指標に 厚労省方針―社保審・介護保険部会


《 社保審・介護保険部会 10日 》

高齢者の自立支援や重度化防止につながる取り組みを推進する観点から、前向きに努力したり結果を出したりした自治体にリターンとして交付金を出す――。今年5月に成立した改正介護保険関連法に盛り込まれ、来年度から導入されることになった新たな仕組みだ。右肩上がりの給付費をできるだけ抑制する狙いがある。

厚生労働省は10日の審議会で、個々の自治体を実際に評価する際に用いる指標の案を提示した。要介護度の変化率をその1つに位置づけている。「無理に下げようとするところが出てくるのではないか」といった懸念の声が噴出したことから、認定率を採用することはひとまず見送った。維持・改善の度合いをきめ細かく調べるため、一次判定で分かる「基準時間(要介護認定等基準時間)」の変化率も使う意向を示している。

第73回社会保障審議会介護保険部会資料

加えて、事業者への指導や専門職への研修を十分に行っているかもチェックするとした。規模の小さなデイサービスで機能訓練や栄養改善が実施されているか、入院・退院のタイミングでケアマネジャーと医療機関が連携しているか、といった要素も対象にするという。インセンティブが機能して自治体が働きかけを強めれば、現場にも大きな影響が及びそうだ。

会合では委員から、地域間で不公平が生じないよう慎重に検討を重ねていくべきだと促す声があがった。厚労省は来年度からの導入に向けて、引き続き関係者との調整を進めていくとしている。

今後の最大の焦点はリソースだ。新たな交付金を設けるために必要な経費を節減できることなどから、財務省や経済界は介護保険の「調整交付金(*)」を活用すべきと迫っている。一方で自治体サイドはこれに強く反発。この日の会合でも、全国市長会や全国町村会を代表する委員が「(調整交付金の)本来の機能が損なわれてしまう」「断じて容認できない」などと繰り返し訴えた。最終的な判断は政府・与党に委ねられる。新たな交付金の全体のスケールも含め、来年度の予算案が固まる年末に決定される見通しだ。

* 調整交付金

個々の保険者の努力だけではどうしても埋められない財政力の格差を無くすための仕組み。75歳以上の高齢者が多くて出費が嵩んでしまう、被保険者の所得水準が低くて保険料収入を十分に得られない、といったやむを得ない事情で収支が厳しい自治体を支えるためにやりくりする。今の介護保険制度では国が給付費の25%を負担しているが、このうちの5%相当が調整交付金にあたる。

地域ケア会議や包括も指標に

今回の指標の案は、市町村向けが59項目、都道府県向けが20項目。厚労省がこれまで様々な場面で自治体に求めてきたミッションが多く並んでいる。要介護度の変化率などの「アウトカム指標」より、それぞれの努力やその進捗を評価する「プロセス指標」の方が目立つ。

例えば地域ケア会議。多職種と連携して個別事例を検討し、その対応策を講じているか――。複数の個別事例から地域課題を明らかにし、それを解決するための政策を提言しているか――。そんな着眼点が含まれている。

地域包括支援センターの活動もみていくという。包括が受けた相談を保険者に報告する仕組みを整備しているか――。運営協議会での議論を踏まえ、包括の運営方針や支援内容を検討し改善しているか――。そんなポイントが列挙された。

厚労省はこのほか

  • 地域密着型のデイサービスで機能訓練や栄養状態・口腔機能の改善に向けた取り組みが行われているか
  • ケアマネジメントに関する保険者の基本方針をケアマネに伝えているか
  • 居宅介護支援の「入院時情報連携加算」や「退院・退所加算」の取得率はどうか
  • ケアプラン点検をどの程度実施しているか
  • 新しい総合事業の仕組みや趣旨を地域の住民・事業者に周知しているか

などを確認する考えも打ち出している。

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