自立支援、どう評価? 厚労省、「科学的介護」の展開へ検討を本格化


《 厚労省の専門家会議 12日 》

自立支援の効果が科学的に裏付けられた介護サービスの展開に向けて、厚生労働省の専門家会議が12日に始動した。

十分なエビデンスを蓄積し、それを有効に活用していく方策を議論する。どんな情報をどれくらい収集するか、データを集める際の現場への負担をどうみるか、構築したエビデンスを広く浸透させるにはどうしたらいいか −− 。そうした課題を扱っていく。ゆくゆくは介護報酬の評価にもリンクさせる計画で、議論の行方は施設・事業所の経営や日々の業務に影響を与えることになる。

「科学的介護」の推進は政府が打ち出した今後の舵取りの方向性。「どのような状態にどのような支援をすれば自立につながるか明らかにする。効果のある自立支援の取り組みが報酬で評価される仕組みを作る」。安倍晋三首相は今年4月、成長戦略を話し合う「未来投資会議」でそう言明した。来年度も可能な範囲で対応するが、2021年度の改定からインセンティブの拡大など施策を本格的に打つ考えだ。厚労省はビッグデータを管理する横断的なデータベースを2020年度までに整備するという。より質の高いサービスを普及させるとともに、膨らみ続ける給付費の抑制に結びつける狙いがある。

新たに発足した専門家会議は、こうした構想を具現化していく道を開拓するのがミッション。これからどんな情報を蓄積していくかについては、今年度末までに取りまとめる予定だ。ケアマネジメントやリハビリテーション、認知症、栄養といったテーマごとに詳細な検討を行う。他にも多くの議題があるため、来年4月以降も継続して会合を重ねていく。最終的な形はまだ固めていないが、構築したエビデンスはガイドラインなどにまとめて周知する方針だ。

12日の初会合では、厚労省がエビデンスとなり得る既存の調査研究の成果を紹介したり、委員がそれぞれの専門分野の知見を出し合ったりした。高齢者の置かれている環境や心身の状態、望む時間の過ごし方、モチベーション、死生観などは十人十色。介護職が担っている役割やケアの目標、アプローチの仕方も幅広く、「科学的介護」を確立し定着させるのは決して容易ではない。「自立支援をどう評価するのか。難しいが何らかの『ものさし』を開発しないといけない」「現場に画一的なメソッドを勧めると、利用者本人の自己決定に反する恐れも出てくる」。そんな声もあがった。どうコンセンサスに至るのか見えにくい論点も多く、この流れが将来どれだけ大きなインパクトを持つかはまだ判然としない。

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