「循環型」の仕組みの構築をするためにケアマネジャーがすること

  • コラム
  • 宮川明子
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『経済財政運営と改革の基本方針』(骨太方針2017)で、認知症の高齢者や家族を支援するため認知症の予防から発症、人生の最終段階まで容態に応じて、医療や介護を切れ目なく提供できる“循環型”の仕組みの構築を目指すと明記されました。ここでは「人生の最終段階」という言葉が用いられたことに注目しつつ、高齢者や家族を支援するに必要なシステムについて考察していきます。

病院間の連携

高齢者が怪我や病気で入院する状態になったとき、「精神科がないので無理」と断られることがあります。また、入院先となる病院を見ていて、医師に認知症の知識があまりないのかな…と感じることも少なくありません。生まれつきの知的発達障がいと認知症は症状が異なりますが、そのことを理解できていない医師も多く、頭を抱えてしまうこともあるのです。

しかし、例えば患者がほかの病院に入院したとき。認知症対応でかかっている精神科医が月1回でも本人の入院している病院に出向いて診察できるなら、「精神科がない」という理由で断られることもなくなるでしょう。このあたりの医療機関における連携システムは、検討してみる価値があるかもしれません。そのうえでケアマネジャーは、上手く連携できるように調整していくことが求められるでしょう。医学や看護と分野は違うものの、スムーズな循環を実現させるには、入院施設を持つ病院の医師すべてに、認知症の知識や対応について理解してもらうことも重要です。

『骨太方針2017』で掲げられた循環システムも、決して悪いものではありません。しかしその内容は、高齢者がすでに介護保険を受けている状態で、循環の第一歩として「介護保険を知っている」ことが前提になっています。これに対して「地域に帰る=見捨てた」という印象を持つ人は多く、「地域で安心して暮らせる」という印象がまったくないのが現状です。

情報提供の方法と中身

「介護疲れによる殺人」「認知症の人と接する難しさ」等といったニュースを見聞きしていると、自宅で介護することは、介護者の負担が増え苦労するだけという印象を持たれるのも無理はないと感じます。しかしこのようなケースでは、実際のところ介護保険を利用していない人が多いのです。できればニュースの中で、

「困ったことがあったら、福祉事務所や包括ケアセンターに相談できる」

「保険料を払っているのだから病院にいくのと同じで、『お上』の世話になるのではない」

など、介護への抵抗感をなくしてもらえる情報が一緒に提供されれば良いのではないでしょうか。情報を知ること。また、自分がサービスを利用できる状況であることを、まず高齢者本人や家族に知ってもらうということが、“循環”の第一歩です。例えばニュースの終わりに、

「介護保険という制度があり、病院にかかるのと同じように誰でもサービスを受けることができるのだ」

という情報をこまめに入れてもらう。そうすれば、マスコミへ協力を依頼することも有効だと思います。

より良いサービス提供に向けて

「リハビリして自立を促す」というプランは、次第に「どのように人生の最終段階に入っていくのか」ということに繋がっていきます。医師と家族、本人とで意思の疎通をはかり、本人ができるだけ苦しい思いをしないようなケアプランを作成することになるのです。では、いつどうやってプラン目標を変えていくのか。これは本当に難しいことでしょう。このあたりは、まだ議論されていないように思います。

誰が循環させるのかについては、『かかりつけ医』という意見もあるようです。しかし、実際にはいろいろな機関との連携が必要になるので、ケアマネジャーの仕事ではないかなと感じます。このシステムを上手く使い、よりよいサービスを提供できるよう、アンテナをはっておきたいものです。

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