管理者要件、原因と結果の逆転に注意

介護給付費分科会での居宅介護支援にかかる議論で、「事業所の管理者のあり方」が論点として上がっています。ポイントは、管理者を主任ケアマネに限定すべきか否かという点です。7月14日の会合では、「主任ケアマネに限定すべき」という声と「限定は慎重に」という声で、委員の意見は分かれました。

実態調査の結果を改めてチェックすると…

「管理者は主任ケアマネに限定すべき」という意見の根拠になっているのは、2016年度の居宅介護支援事業等の実態調査で示された管理者業務の状況です。具体的には、(1)事業所内検討会が定期的に開催しているか、(2)事業所のケアマネに対して同行訪問による支援(OJT)を行なっているか、(3)事業所のケアマネに対してケアマネジメント業務に関する相談の時間を設けているかの3点です。

(1)の開催は、管理者が主任ケアマネである場合(以下、A)で65.6%、主任ケアマネでない場合(以下、B)で42.4%。(2)の同行訪問支援は、Aで66.3%、Bで54.0%。(3)のケアマネに対する相談時間の設置は、Aで18.9%、Bで11.6%という具合です。いずれも「管理者が主任ケアマネ」のケースで高い実施率を示しており、これをもって「限定すべき」という論旨が展開されているわけです。

管理者が主任ケアマネだから実施率が高い?

問題は、「高い実施率」を示しているのは、本当に「管理者が主任ケアマネだから」なのかという点です。居宅介護支援にかかわらず、介護現場の管理者業務は多様です。それらが事業所内でシェアできる組織的な余裕があるかどうかで、管理者一人あたりにかかる負担は変わってきます。その負担状況によっては、上記のような「ケアマネ支援」にかかる管理業務を定例・定型化したしくみとしてきちんと行えるかどうかも変わってくるでしょう。

たとえば、特定の人に多大な業務が集中する事業所風土で、一定以上のベテランケアマネが「心置きなく主任ケアマネ研修を受ける余裕」があるのかどうか。この点を考えれば、上記のケアマネ支援業務を確実に行なえる事業所は、そのまま「主任ケアマネを取得しやすい環境」があるとの見方もできます。

以上の点から、「管理者が主任ケアマネだからできている」のではなく、「上記の業務がきちんと行える余裕がある事業所だから、主任ケアマネが多い」という分析も成り立つことになります。要するに、今回のテーマを議論する中で、原因と結果が逆転している可能性も考慮に入れなければならないわけです。

問題の本質は管理業務のシェアが可能か否か

居宅介護支援事業所に限らず、あらゆる介護現場に共通することですが、給付管理業務等の複雑化に「事務職などの増員」が追い付かず、特定の管理者の業務が肥大化している傾向が見られます。そもそも、ケアマネも事務職も処遇改善加算はつかないわけで、人員確保は主に基本報酬に依拠しています。

(処遇改善以外の)各種加算で管理業務コストをまかなうにしても、要件を満たすために「管理業務の負担も増える」ことは十分に想定されます。つまり、管理者に一定の昇給があったとしても、「業務負担の増加とのバランスがとれない」状況も生じるわけです。

問題は、そうした管理者の業務負担の中には、「見える」化しにくいものも多々ある点です。先の「ケアマネのための相談時間を設ける」というしくみ化されたものはなくても、ケアマネからの細かい相談に管理者が随時のっていくというのは一般的な状況でしょう。

結局のところ、現場のケアマネジメントの質を高めるには、「主任ケアマネを管理者にあてるかどうか」という資格要件の問題ではなく、「管理者の業務シェアをどのように進めるか」という構造的な問題からスタートすべきでしょう。委員提案にある「管理者のための研修」なども、その構造的な問題が解決したうえで初めて実効性をもつといえます。

議論の順番が逆転してしまうと、ベテランケアマネが「つぶれる・燃え尽きる」という状況を作ってしまいかねません。そうした先輩の姿を見て、若いケアマネ(あるいは、これからケアマネを目指す介護職など)が将来に希望を持てるでしょうか。これは、介護現場の人手不足全体にかかわる問題といえます。

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