お風呂場での事故は重大事故になる可能性が【PR】

入浴中のヒヤリハット

高齢者にとって入浴が危険である最も大きな理由は「裸であること」です。衣服を着ていないことで、日常的に行っている当たり前の動作でも危険が伴い、ちょっとした接触でも大きな事故に繋がってしまうこともあります。また、お湯の温度や浴槽及び浴室の狭さ、滑りやすいといったことも、入浴事故に繋がってしまう要因です。

高齢者人口が増えるに従い、入浴中の事故死が増えてきていると考えられます。家庭の浴槽以外での溺死を含めても、日本の高齢者の溺死者数は欧米に比べ多くなっています。入浴する際の身体状況や入浴の環境によっては、重大な事故につながる危険性がありますので、事故につながりやすい原因を事前に把握しておく必要があります。

2017年1月に出された消費者庁のニュースリリース※でも高齢者の入浴事故に対する注意喚起が行われています。その中には、以下の内容が記載をされています。(上記ニュースリリースより一部引用)

  • 厚生労働省の人口動態統計による家庭の浴槽での溺死者数は、平成26年に4,866人で、平成16年と比較し10年間で約1.7倍に増加している
  • このうち約9割が65歳以上の高齢者で、特に75歳以上の年齢層で増加している
  • これらの多くは冬季に発生をしている


冬季に多く発生しているとされている高齢者の入浴事故の中で最も大きな要因であり、注意をしなければならないことが、暖かい場所から急に寒い場所へ移動したときに起こる「ヒートショック」です。急激な温度の変化によって血圧がいきなり変化するため、場合によっては死亡事故に繋がる可能性があります。ヒートショックを防ぐには、浴室と脱衣所の温度差を少なくすることが大切です。特に冬場は注意しなければいけません。入浴前に、浴室を温めておくなどの対策を行う必要があります。また、浴槽からの急な立ち上がりも身体へ急激な温度差を与えてしまうため注意が必要です。そのため、いわゆる「一番風呂」も禁物です。一番風呂はまだ浴室が温まっておらず、ヒートショックの原因になります。

また、浴室の床は滑りやすいので、転倒には十分注意しましょう。転倒防止など安全面に配慮が必要です。高齢者は体のどこかに痛みがあることが多いので、浴室への移動や浴槽へ入る際など、思うように体が動かせず、バランスを崩して転倒するケースがあります。

『安全に』入浴を行うために

入浴と言っても方法はいくつかあります。要介護高齢者の入浴方法には何が最も適切なのかを事前にアセスメントする必要があります。方法としては、以下の3点が挙げられます。

  • 在宅での入浴(家族や訪問介護員による入浴介護含む)
  • デイサービスでの入浴
  • 訪問入浴サービス

これらの方法にはそれぞれメリットとデメリットがあります。そのため、本人の状態は当然ながら介護者の負担や、住んでいるご自宅の浴室の広さや浴槽の深さ、段差など住環境に配慮して、何が最も適切であるのかをアセスメントする必要があります。利用者自身がどの程度であれば自分自身で行えるのか、座位は保つことができるかなどといった身体状況や疾患状況を把握する必要があります。また、介護者の介護負担とのバランスを考えながら、適切な手段を選んでいくことも重要です。

本人の身体状況か家族の介護負担と合わせて、浴室環境も把握しておかなければなりません。浴室の床や浴槽内などが滑りやすくなっていないか、段差はないか、手すりはあるか等、浴室環境を確認し、事前に整備をすることで、危険を回避することもできます。これらは実際にはケアマネジャーと相談しながら、決めていくと思いますが、理学療法士・作業療法士による評価やアドバイスもあるかもしれません。

環境整備とは

自宅での入浴が不安な場合は、環境改善を考慮するのも1つの方法です。浴室環境を整備する方法は大きく2つあります。それは、リフォーム等の住宅改修を行うことと介護用品を導入することです。リフォームを行ったり、介護用品を導入することで、高齢者が入浴に伴う動作を楽にすることが可能です。段差が多く、ぬれた浴室は滑りやすく転倒しやすい環境であるため、転倒しづらい状態をつくり出す必要があります。また、入浴中は血圧の急激な変化が起き、体調が急に変化する可能性もあるため、一連の動作をスムーズにおこなうことも大切です。

介護用品を利用することで、介助者の負担を軽くすることができます。段差があり、ぬれて滑りやすい浴室で体を支える入浴の介助は、介助者にとっても重労働です。手すりや入浴台を利用して、ご本人が自力で浴槽をまたげるようにしたり、体を洗いやすい姿勢に保つ入浴用のいすを使えば、介助の負担が軽くなります。これらの問題を解消するためにも、浴室環境を整備することは非常に重要だと言うことができます。


※ 消費者庁 消費者庁消費者安全課 平成29年1月25日 ニュースリリースより引用


取材協力:国際医療福祉大学 教授 東畠弘子先生

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