生活援助の人員基準緩和と適正化に慎重意見も 介護給付費分科会

社会保障審議会介護給付費分科会(7/5)《厚生労働省》

社会保障審議会・介護給付費分科会は7月5日、訪問介護や訪問看護、2018年4月に創設される共生型サービスの介護報酬や指定基準などについて議論した。訪問介護のうち生活援助については、人員基準の緩和とそれに伴う報酬の見直しを検討することが政府の改革工程表に明記されているが、複数の委員から身体介護と生活援助を切り離すべきではないなど、否定的な意見が示された。

訪問介護について厚生労働省は、▽生活援助中心の訪問介護の人員基準と報酬▽身体介護も含めた訪問介護の報酬のあり方▽集合住宅におけるサービス提供の適正化▽サービス提供責任者の役割と任用要件▽身体介護における自立生活支援のための見守り的援助とリハビリテーション専門職の意見を踏まえた訪問介護の実施―を論点に挙げた(p9参照)。

第142回社会保障審議会介護給付費分科会資料

生活援助のみで月31回以上の利用は6,626人、月100回以上利用のケースも

掃除、洗濯、調理などの生活援助は、「20分以上45分未満」、「45分以上」の2区分があり、同日内であっても2時間以上の間隔を空ければ、所定の報酬を再度算定できることになっている。財務省が行った「平成29年度(2017年度)予算執行調査」によると、生活援助のみの利用者1人当たり平均利用回数は月9回程度だったものの、月31回以上の利用者は6,626人に達し、月100回以上利用しているケースもあった(p77参照)。また集合住宅へのサービス提供の問題では、大阪府の調査で、介護サービス事業所の指定を受けていない「サービス付き高齢者向け住宅」や「住宅型有料老人ホーム」の入居者における在宅サービスの受給者1人当たり単位数が、極めて高いことが報告されている(p80~p82参照)。

生活援助中心の訪問介護の人員基準見直しと頻回訪問の適正化について委員からは、「生活援助の効率化は必要。自立支援を妨げない範囲で軽度者へのサービス提供を減らす一方、一定以上の頻回訪問については1日の算定上限設定や、1日当たりの定額報酬とするなどの方法が考えられる」(鈴木邦彦委員・日本医師会常任理事)との意見がある一方、「生活援助に専門性はいらないということはない。生活援助のみに着目した人員基準緩和には反対」(瀬戸雅嗣委員・全国老人福祉施設協議会理事・統括幹事)、「利用者参加で一部手伝いながらのサービス提供と完全な家事代行とは区別するべき」(齋藤訓子委員・日本看護協会副会長)といった声もあった。集合住宅でのサービス提供適正化でも意見が分かれ、議論の前提として大阪府の調査のより詳細な分析を求める慎重意見もあった。

終末期の非がん患者への訪問看護、支給限度額内での対応困難 日看協

訪問看護では、▽緊急時や看取りへの対応、訪問看護ステーションの大規模化などによる訪問看護の安定的提供体制▽理学療法士(PT)などによる訪問看護▽訪問看護と居宅介護支援を含むほかの介護保険サービスとの連携(p17参照)―が、共生型サービス(障害福祉サービスを受けていた障害者が65歳以上になっても、引き続き使い慣れた事業所でサービスを利用できるようにするために創設するサービス類型)では、▽介護保険サービス(訪問介護、通所介護、療養通所介護、短期入所生活介護)を提供する場合の指定基準を満たせない、指定障害福祉事業所の取り扱い▽相談支援専門員とケアマネジャーの連携(p35参照)―がそれぞれ論点として示された。

議論では齋藤訓子委員が非がん患者の終末期の訪問看護について、医師の指示書がない場合は区分支給限度額の範囲内で十分な訪問機会を確保するのは困難と指摘し、見直しを要請。PTによる訪問看護に関しては、「看護職とPTが協働でリハビリテーション実施計画を立てることや、リハビリ主体でも月1回は看護職が訪問することなどを運用基準に盛り込むべき」との考えを示した。

なお、居宅介護支援についても同日議論する予定だったが、時間切れのため次回以降に持ち越しとなった。

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