【ナースコール未対応】岐阜市民病院が4,000万円で賠償示談

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岐阜市民病院(富田栄一院長、岐阜市鹿島町7-1)は5月24日、頸椎の外科手術を受けた岐阜市内在住の60歳代前半の男性患者がその翌年に死亡した医療事故について、患者遺族との示談交渉のなかで病院側の体制整備義務違反などを認め、4,000万円の損害賠償金を遺族側に支払うことで示談が成立したことを明らかにした。外科手術後に合併症の低酸素脳症を発症した際の対応が遅れた医療ミスを病院側が認めたかたちで妥結したもよう。

同市民病院医事課によると、男性は手のしびれを訴えて来院し、頸椎の変形で脊髄が圧迫される「頸椎症性脊髄症」と診断された。2014年1月に頸椎を一部削って足の骨を移植する外科手術を受けたが、手術と翌朝に容体が急変。意識がなくなり、呼吸数や心拍数も低下したため、医師らが心肺蘇生などを施したが、脳に十分な酸素が供給されない蘇生後脳症(低酸素脳症)になってしまう。そのご意識が戻ることがないまま、2015年9月に肺炎の重症化により死亡に至っていた。

この容体急変の際、心拍数の異常を知らせるアラーム音が発報され、男性患者自身からもナースコールも鳴らされていた。しかし、当該の病棟看護師4人全員が他の患者にたいする食事の準備などをしていて即座に対応できず、約8分後に看護師が病室を訪室すると、すでに男性患者の意識が混濁し、呼吸数・心拍数も低下。ちなみに手術翌日における男性の病状に異常はなく、容態も安定していたという。

そのご病院側が設置した医療事故調査委員会(第三者委員会)では、合併症の可能性があるのに、すぐに対応できなかった病院側の術後管理体制に大きな問題があったと指摘されていた経緯もある。

なお、病院では今後の再発防止策として、今回のような手術後は一般病室ではなく集中治療室に入室させたり、患者からのナースコールで返答ない場合は病室訪室を最優先することを看護職に周知したりする――などの再発防止策を講じることとしたことも今回webで明らかにしている。

以下、今回の事故の概要および再発防止策と原因について病院サイト上の記述は次のとおり。


【事故の概要と原因】

当該患者さんは、両手の痺れを主訴とし、各種検査のうえ、頚椎症性脊髄症と診断され、頚椎前方除圧固定術(多椎間)を施行した。手術は予定通り施行され、翌朝看護師が訪室した際には異常がなかったが、その後容態が急変し、モニターアラームおよびナースコールがあり看護師が訪室すると意識がなく、呼吸数、心拍数も低下している状態であった。

医師らが心肺蘇生を行ない、心拍は再開したが意識は戻ること無く、蘇生後脳症と呼ばれる状態となった。その後、意識回復を期待して治療を継続したが平成27年9月、死亡した。

心拍を監視するモニターのアラーム音が発報し、患者さんもナースコールを鳴らしたが、当該病棟のスタッフは他の患者の対応中であり、直ちに対応することが出来ず処置が遅れてしまった。

事故後、第三者委員を入れた事故調査委員会を設置し検証した検証した結果、合併症として起こりうる低酸素血症の発生に対して早期に対応できなかった病院の術後管理体制に問題があると指摘された。

【再発防止策】

≪頚椎前方除圧固定術(多椎間)の術後患者について≫

当院では、術後のリスクを考慮し、本件後は一般病棟ではなく、ICU(集中治療室)に入室し、きめ細かい管理ができるようにした。

≪重症患者の管理体制強化について≫

新たにHCU(高度治療室)を整備し(平成28年2月1日から稼働)、8床体制で術後患者を含めた重症患者を管理している。

≪一般病床における対応について≫

(1)ナースコールを受けた場合は、患者の訴えを確認し、返答がない場合には直ちに病室を訪室し、患者の状態を確認するという運用を統一して看圖蔬全員に周知した。

(2)手術後の注意点などを職員間で共有する手術後経過表の見直しを行ない、「患者情報共有シート」を作成して、担当看護師だけでなく他の職員全てが患者の安全に務める体制づくりを行なった。

(3)ナースコールと連動しているPHSの台数を増やし、職員相互の連絡・連携を強化した。

≪スタッフ教育について≫

緊急応援要請コール事例について収集・分析を行ない、患者の異変につながる予兆に気付くことの重要性についての研修を行なったほか、病棟・外来において患者急変時の対応についてシミュレーション研修を実施した。


■岐阜市民病院「医療事故公表について」(個別公表)
http://gmhosp.jp/about/jiko.html#h290524

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