保険外サービスのあり方をどう考える?

混合介護にかかる規制緩和の議論が進み、東京都ではすでに具体化の動きが見られます。賛否はあるものの、「保険外サービス」に対する市場の関心は高まらざるをえません。こうした時代の流れに対して、現場への影響やそれにどう向かい合うべきかを考えます。

「保険外サービス」にスポットを当てた催し

1月25、26日の2日間、東京ビッグサイトで「国内唯一の介護保険外サービスの専門展示会」となる「第1回保険外サービス展2017」が開催されました。生活支援・介護予防の専門展示会となる「第3回高齢者生活支援サービス展」との併催となっていますが、「保険外」という開催趣旨を打ち出した点に大きな注目が集まりました。2日間の来場者数も、1万4000人以上にのぼっています。

具体的な展示としては、たとえば以下のようなものが見られます。介護保険の生活援助で対応できない部分の家事援助サービスメニュー、多様な高齢者向け生活支援サービスの立ち上げサポート、MCI段階での認知症予防のプログラムなど。介護保険の通所介護でも導入できるような介護予防プログラムもありますが、多くは4月に全面施行となる「新しい総合事業」や、自立高齢者を対象とした介護保険外市場を視野に入れたものといえます。

保険外の付加価値に安心を求めるという時代

こうした催しが開かれ、1万人を超える来場者がいるということは、裏を返せば「介護保険だけでは将来的に事業継続が難しくなる」という事業者側の危機感が垣間見えます。会場で出会った事業者からは、「2018年の報酬改定はさらに厳しい引き下げが予想される。事業者としては、保険外で多様な付加価値を探る必要がある」という声も聞かれました。

保険外での多様な付加価値を探るというのは、国の産業興隆という点では評価できるかもしれません。しかし、上乗せ部分の付加価値というのは、国民の安心・安全を支える根幹となる社会保険制度がきちんと整ってこそ意味をなすものです。最低限の安心を「保険外の付加価値」で代替えするとなれば、「何のために保険料を払っているのか」という不信は当然高まることになるでしょう。

それは、現場で働く従事者側にも生じてくる課題です。介護保険だけでは十分な処遇がなされないという中、「保険外の付加価値を高めれば給料も上がる」となれば、現場のモチベーションも「その付加価値部分に力を入れよう」という方向に傾きます。

従事者の業務評価に「営業力」が入り込む

上記のような「付加価値重視論」が現場をおおったとき、注意しなければならないのは、利用者の自立支援や生活の質の向上を実現するという業務評価の中に「営業効果」というスケールが入り込んでくることです。

たとえば、「この利用者の重度化防止がうまくいかないのは、付加価値部分のサービスが提供できていないから」という見方が、現場の風土として根付く可能性があります。そうなれば、「付加価値を使ってくれない(それだけのお金を払えない)利用者に非がある」とか、「(利用者に)付加価値を使わせない従事者の営業力レベルが問題」という考え方が、介護現場のスタンダードとなりかねません。

これはケアマネにも言えることで、事業者によるケアマネジメントの質評価の中に「営業力」というスケールが入り込む懸念も生じるでしょう。そうなれば、ケアマネの公正中立の理念など、吹き飛びかねません。混合介護の議論で「ケアマネの監督力」という話が出ていますが、適正な監督力を求めるなら、介護保険でまかなう部分の基盤をしっかりと整えて、ケアマネが営業力評価に飲み込まれないだけの報酬設定を図ることが大前提です。

事業者としても、「保険外」の付加価値に飛びつく前に、それが組織風土にどのような影響を与えるかを慎重に考えるべきでしょう。

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