介護保険制度改正、利用者の視点でどうみるか 家族の会が抱える「強い危機感」 認知症の人と家族の会常任理事 花俣ふみ代

「社会保障の枠の中だけで財源を論じるのは限界」

-利用者の自己負担の引き上げも決まりました。

「応能負担」の考え方を前提にして、所得の低い人を対象から外したことは理解できます。ただ、介護は長期間にわたって利用し続けるものですよね。いくら現役並みに所得があるといっても、3割をずっと払っていくのは楽ではないでしょう。「高額介護サービス費」の見直しも、ひと月の負担が最大で7200円増える内容です。これは一般的な所得の世帯が対象ですから、厳しいと感じる人だっているはず…。我々は反対の立場をとりました。

-財政がかなり逼迫しているので、制度の持続性のために必要。そうした意見も多いですよね。

お金が無いのは分かるんですけど、無理やりとても狭い枠の中で話をしているなと感じます。あえて社会保障制度だけを見てやりくりを考えていますよね。だからこういう流れになってしまう。もっと広い視野を持ち、国の予算の全体を議論すべきではないでしょうか。社会保障制度だけに範囲を限定し、今年は何億円も増えたから何億円は減らさなければいけないなんて言われても、やっぱり釈然としないんですよね。はいそうですか、なら仕方ないですね、なんて言えません。我々は利用者の立場から発言しているんですよ。

-財源は他の分野から持ってこれるはずだと?

もっと詰めるべきところがあるはずです。ムダに使われているお金は本当にありませんか? 根本的なところから考え直すべきです。本質的な議論をしないまま、給付は縮小していきます、負担は増やしますなんて迫られても、我々は「No」と言い続けます。高齢者の生活がどんどん苦しくなってしまう。税金の使い道をもっと工夫して欲しいんです。そうでなければもたない。政府への不信感が増幅し、若い世代の不安が増すばかりです。社会保障制度の枠の中だけでやりくりを考える手法は、もはや限界に達しているのではないでしょうか。

-現場の介護職に伝えたいことは?

今の状況でも現場を支え続けている方は、本当に偉いなと思っています。あえて何かを言うとしたら、業界の外の人にもより関心を持ってもらうようにしないといけないのではないでしょうか。現状をみると、我々の危機感が十分に共有されているとは言い難いですよね。改革の行方を社会がもっと注視するようになれば、潮目が変わっていくのかもしれません。日本で生きる多くの人にとって、介護ってやっぱり切実な問題になりますからね。

認知症の人と家族の会常任理事、埼玉県支部代表 花俣ふみ代

介護支援専門員。サービス提供責任者。社会保障審議会・介護保険部会や成年後見制度利用促進委員会などの委員を歴任。家族の会の活動をボランティアで牽引しつつ、介護の現場に12年にわたって従事。認知症の2人の親を介護した経験も持つ。趣味は読書。介護の仕事に力を注ぐのは、「この世で自分に与えられた役割」だから。

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