ケアマネジメント適正化推進事業でケアマネジャーの資質はアップする?

  • コラム
  • 宮川明子
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ケアマネジャーの仕事について、ケアマネジャー本人と事業所に対する公平さ、また事業が公正に行われているかなどをチェックする取り組みがすすめられています。介護関係の予算が膨れていく一方、無駄や重複を客観的にチェックすることは必要でしょう。また、ケアマネジャーの資質を上げる対策も重要視されています。基本的に、この事業で国がケアマネジメントに求めていることと、ケアマネジャーそれぞれが悩んでいることはほぼ同じです。ではその施策は、果たして現場にとって本当に効果があるのか。ここで考察していきます。

ケアマネジャーの抱える悩み

ケアマネジャーの悩みとして上位に挙がっているのが、以下のような内容です。

  • 取り扱う書類が多い
  • 自分自身の能力に不安があり、しかし相談できる相手がいない
  • 制度が頻繁に変わるため、対応するのが難しい など

書類が多すぎることを悩んでいるケアマネジャーは全体の約7割にも及びます。しかし実際のところ、これら書類のうち「あとで見直すことがあるもの」を選び、それ以外は基本的に削っても良いのではないでしょうか。「用紙があるから書いている」というものは、見直してみるとかなりの量に及ぶと思います。

介護職員が研修を受けることのメリット

介護の専門誌や関係ウェブサイトなどを見てみると、「行ってみたいな」と感じる研修がたくさん見つかります。しかし現実的には、忙しすぎて参加できない人が多いのではないでしょうか。研修を受けられるかどうかは、施設によってかなり差があるようです。

研修に行くことのメリットは、ただ学んだ内容が仕事で役に立つだけではありません。他施設で働く方々と交流することでネットワークが広がり、モチベーションの向上にも繋がることでしょう。研修に参加した人はその内容をきちんと記録し、他職員と情報共有できるようにしておくこと。そうすれば、常に新しい制度や取り組みについて知ることができます。全職員がなんらかの研修を受けられるよう、各事業所に研修費用を助成するというような制度があればいいと思います。

ケアマネジメント適正化事業に感じる課題と疑問

ケアマネジメント適正化事業では資質アップのため、主任ケアマネジャーが各施設を回って助言するという方法を取るようです。しかしその結果、「項目があるから書かなければならない」というような書類が増えるだけになるのではという懸念もあります。

まず何かを相談できる環境として、個々のケアマネジャーが日々の業務で悩んでいることを、電話やメールで相談できる公的機関があるといいのではないでしょうか。そこに寄せられた悩みや疑問を確認事項としておけば、実際に巡回する際にも具体的なアドバイスができると思います。

また、ここで寄せられた悩みや疑問は、資質を上げるための更新研修のためにも参考にしてほしいものです。更新研修の対象者は、少なくとも5年はケアマネジャーを務めています。そのため、初任者研修とほぼ同じ内容では全く意味はありません。

適切なサービスをしたいのに、「同一法人系列のサービスを使う」ということに疑問を感じているケアマネジャーは少なくありません。『特定事業所集中減算』の取扱いについては、「提供されたものの占める割合が100分の80を超えた場合 、減算適用期間に係る全利用者について1月につき 200単位を減算」とされています。ここで、なぜ利用者のサービス提供に制限がかかるのか疑問です。苦労するのはケアマネジャー。そして、利用者も受けられるサービスが減ってしまうなど、現場が困ってしまうだけではないでしょうか。これは、法人自体にペナルティがあるよう考えるべきだと思います。

厚生労働省が考える「資質の向上」は、ケアマネジャーも同じことを感じています。ケアマネジャーが日々感じる悩みに、きちんと応えられる制度になることを願うばかりです。

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