「要介護度で自立支援ははかれない」 老施協、自己実現を支える介護を要請

特養を運営する社会福祉法人などでつくる「全国老人福祉施設協議会」が、自立支援の効果をはかる尺度として要介護度を使う構想に警鐘を鳴らしている。

5日に塩崎恭久厚生労働相へ提出した意見書の中で、時間とともに高齢者の心身が衰えていくのは自然の摂理だと反論。「状態の改善に努めるべき」という価値観を押し付けたり、本人が望んでいないリハビリを迫ったりするなど、個々の思いや尊厳を軽視した対応が広がると問題を提起した。QOLを考慮しない「ADL回復の目的化」は、ケースによっては虐待になりかねないと忠告している。

いわゆる「自立支援介護」について(意見)

老施協が警戒しているのは政府の動向だ。安倍晋三首相は先月の「未来投資会議」で、利用者の自立を後押しする介護保険の機能をより強化していくと表明。2018年度に控える介護報酬改定にも、そうした方針を反映させたい考えを示した。委員を務める有識者らは、「自立支援の標準的な取り組みを行わない事業所へのディスインセンティブを検討すべき」と提案。報酬の評価の指標として、要介護度が下がったかどうかを用いることも要請している。

老施協は意見書で慎重な対応を求めた。「次第にできることが限られていく中でも、その人らしく暮らしていける環境をつくることにだって大いに価値がある」と主張。「そうした支援を評価せず、要介護度が軽くなることだけを尺度として扱うのは、自然の摂理を無視し、生活の質を軽んずるもの」と批判した。

加えて、「高齢者の支援はより全人的なものでなければいけない。その人らしい百人百様の介護を目指すべき」と強調。「要介護度の改善はひとつのアウトプットであって目的はQOLの向上。自己実現に向けた介護があるべき自立支援の姿」と説明し、広い視野を持って制度設計にあたるよう促した。

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