障がいを負った高齢者・高齢になった障がい者

  • コラム
  • 宮川明子
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障がい者への支援制度は介護制度と似ています。このことは私も知っていましたが、手足が不自由になってしまった方に『障害者総合支援サービス』を使えることがあるとのこと。率直に「よかった」と感じてしまいました。例えば「あともう少し、何かサービスを入れたいな」という場合にとても助かります。

介護保険と障害者総合支援法

介護保険と障害者総合支援法では、いくつか相違点があります。しかし、「通院等介護」は薬の受け取りや官公庁への手続きなども行うことができ、「移動支援」ではショッピングや映画、日帰り旅行も支援を受けることが可能。かなり自由が高いのですが、これは障がい者の社会参加という点で行われているからです。つまり、同じ年代の人と、同じような生活をしていけることが大切ということでしょう。

同じサービスでも名称が違っている、あるいは事業によって該当なしとされているなど、使いこなすのは難しい印象でした。しかし適切なサービスを上手く使って豊かな生活ができるように、積極的に考えたいなと思っています。これまでボランティアの方にお願いしていた細かなこと、例えば犬の散歩やゴミ捨てなど介護保険で手が回らなかった部分だけでなく、楽しむための外出などができるようになるかもしれません。

高齢になった障がい者

障害福祉サービスと高齢者。そう聞いたとき、私は「高齢化していく障がい者」を思い浮かべます。なぜなら、障害者施設で知的障がい者が高齢化していくことは、10年以上前から問題になっていたからです。しかし、「認知症と知的障がいは違う」ということはあまり知られていません。

要介護認定のために診療を受けているとき、「知的に少し障がいがあります」というと、医師の多くがおもむろに「長谷川式」を始めてしまうことが少なくありません。そのたびに、「違うんだよね…」とため息が出てしまいます。

軽度の知的障がいの方なら、長谷川式は楽にできてしまうでしょう。また、軽度の認知症の方なら、知的能力を図るテストはきちんと得点を取っています。背景が全く違うので、同じスケールで図ることはできないのです。認知症の方は、元気な頃にバリバリ仕事ができる部長さんだったかもしれません。しかし知的障がい者の方は、人生のほとんどを障がい者として過ごしていたのです。ここから、大きく違っていますよね。

まだ医学的にハッキリした違いは明らかになっていませんが、同じ脳の障がいとはいっても、病変は大きく異なるのではないかと思っています。できれば、医師の方にもっと知的障がい者の姿を知ってほしいものです。

障害者施設と認知症施設

障害者施設の入所者を高齢者施設に移行する際には、「いじめられるから認知症の施設に」というワーカーさんも多く見られます。しかし認知症対応の施設に行く方が、むしろトラブルは多いのではないでしょうか。知的障がい者の施設にいた頃、高齢入所者Aさんに高齢施設入所体験を試みたことがあったのですが、上手くいきませんでした。

Aさんはお裁縫が好きで、いつも雑巾縫いをしています。しかし認知症施設では、「針が危険だから」という理由でスタッフステーション預かりになってしまいました。健常者の施設で、お裁縫が危ないということはありませんよね。

また、Aさんはいきなり後ろから触られるのが嫌で。触られると相手をぶってしまいます。でも認知症の方は、昨日のことは覚えておらず、毎日のようにAさんに叩かれてもめてしまいました。入所している方たちはAさんの介護者ではないので、お世話などする必要はまったくありません。しかし健常者なら、「これをやると怒ってしまうのね」としっかり覚えてくれると思います。

結局、Aさんはこの施設の体験入所に失敗。断られてしまいました。その数年後に別の高齢施設に入所できましたが、そのときのAさんは、もう認知症の症状が見られていたのです。知的障がい特性+認知症の症状になるようです。高齢化が進んで認知症と知的障がいの違いがハッキリしたら、もっと適切な支援ができるようにしたいですね。

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