低栄養防止の効果を高めるには?

在宅医療および医療・介護連携に関するWGの第2回会合が催され、その中で、高齢者の低栄養防止についての課題が取り上げられています。高齢者の低栄養防止については、平成28年度から推進事業への予算がつけられるなど、国としても力を入れている部分です。

低栄養状態はさまざまなリスクにつながる

たとえば、介護現場で利用者の低栄養状態を放置した場合に、どのようなリスクが生じるでしょうか。栄養状態が悪ければ活動量も減って、運動機能の低下が懸念されます。体力の衰えは感染症の発症リスクも高めるほか、細胞組織の衰えから褥そうや表皮剥離などのリスクも高まるでしょう。食事の摂取量が減っていることが背景にあれば、同時に脱水などのリスクも高まることになります。

このように、自立した生活をおくるうえで、低栄養状態はさまざまな問題を引き起こします。では、なぜ低栄養状態が生じるのかという点を掘り下げたとき、そこには「その人の生活状況」が大きく関係してきます。(ターミナル期で自然に代謝が衰えるというケースもありますが、ここでは回復の見込みがあるという人のケースに焦点を当てていきます)

大切なのは、「指導」後の支援をどうするか

冒頭のWGの資料では、高齢者の特性を踏まえた管理栄養士等の訪問による保健指導などの実施が提案されています。では、訪問によって高齢者への栄養指導などを行なうとして、それだけで効果的な改善が図れるものでしょうか。注意したいのは、先に述べたように、高齢者の栄養状態には、その人の「生活状況」が大きく絡んでいるという点です。

たとえば、食事指導を行なったとして、指導通りの食事が十分に用意できないことがあります。歩いて行ける距離に適当な商店・スーパーがなく、食材等がうまく調達できない。あるいは、足腰の衰えから現状のキッチンでは長時間立つのが難しく、どうしても「調理回数=食事回数」が減ってしまう。入れ歯がうまく合わず、食べかすが間にはさまりやすく、快く食事をすることができない──こうした状況の積み重ねもいつしか食事の摂取量を落とし、低栄養リスクを高めたりします。

こうした状況は、決して要介護の人だけでなく、今回の保健指導の対象者も含まれることは十分想定されます。その点を考えたとき、仮に栄養士や保健師などの訪問指導が入ったとして、「食材調達」や「キッチンの改造」、「入れ歯の調整」といった支援にどうつなぐかという、広い視野での取り組みも必要です。身体機能が少し低下して、「三度の食事」を作るのが難しいのであれば、当然、訪問介護の生活援助へのつなぎも求められるでしょう。

地域で活躍する既存職種をもっと活用したい

もし、国が本気で在宅高齢者の低栄養状態を防ごうとしているのであれば、多様なサービス資源と職種を幅広くコーディネートし、施策の効果を高めなければなりません。「訪問して、指導して終わり」では、費用対効果という点からも疑問符がつきかねません。

また、費用対効果を考えるのであれば、新たなサービス資源の開発に予算を投入するより、既存のサービス資源の経営基盤を強化しながら、そこで働く専門職の連携を進めていく方が効率はいいはずです。つまり、重度防止もまた重点化の一つであるなら、訪問介護の生活援助などを簡単に給付対象から外していくことは施策の方向性に反するわけです。

もし、低栄養防止に重点化するのなら、一定のスキルを積んだ認定ヘルパーや認定予防改修責任者などの上位資格を設け、ケアマネ資格をもった管理栄養士や歯科衛生士などのもとでチームを構成する方法もあるでしょう。冒頭の推進事業の予算もさることながら、せっかく地域医療介護総合確保基金などがあるのですから、そうしたチームの構築・運営の費用にあてることを検討してもいいはずです。

地域で活躍している多様な職種・資源の「積んできた実績」を改めて評価し、その活躍の場を再構築していくこと。こうした発想も重度化防止には必要なものと考えます。

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