「新しい混合介護」の衝撃 サービス価格の自由化で現場はどう変わるのか? Vol.1

介護保険で賄われるサービスとそれ以外のサービスを組み合わせた、いわゆる「混合介護」。多くの利用者がより柔軟に使える環境をつくるため、思い切って制度を見直してはどうかという議論が「公正取引委員会」で行われている。俎上に載っている改革の中身を整理した。加えて、立場の異なる2人の有識者の評価を紹介していく。想定されるメリット・デメリットは何か。もし本当に実行されると、現場にはどのような影響が及ぶのか。(Joint編集部 青木太志)

公正取引委員会「介護分野に関する意見交換会」

まずは今のルールだ。民間の事業者による「混合介護」は現在、保険内のサービスと保険外のサービスを明確に区分して提供する、という前提のもとで容認されている。例えば、緊急時の通報の対応や定期的な配食、個別的な外出の介助、ニーズに応じた時間の延長といったサービスを、給付とは別に用意する形が該当するだろう。月々の限度額を超えてしまった後で、利用者に全額を負担してもらい必要なサービスを追加・継続する場合も、この決まりを逸脱していないとみなされる。

もっとも、保険内・保険外の仕分けがすべてクリアにされているわけではなく、その線引きは曖昧と言っていい。「はっきり分けないといけない」という原則があるだけで、実際にどこまで規制するかという判断は地域によって違う。多くの事業者は市町村の姿勢をうかがいつつ、「グレー」の領域に踏み込み過ぎないよう配慮して動いている。

こうした現状の再考を促しているのが、国の「公正取引委員会」だ。5月に開催した意見交換会で、「新しい混合介護」の導入をテーマにあげた。保険内と保険外の一体的な提供を広く認めたうえで、事業者がその価格を自由に決められるようにしてはどうかという。保険外も組み合わせて満足度の高いサービスを行うとして、公定価格(介護報酬)を上回る値段を設定することを可能にする構想だ。

一例をあげる。介護報酬が2,000円のサービスに、事業者が独自に3,000円をつけたとしよう。自己負担が1割の場合、利用料は200円(2,000円の1割)と残りの1,000円を合わせた1,200円。保険給付は1,800円のまま変わらない。「費用の混合」「価格の自由化」などと表現されている。

意見交換会では有識者の見解が分かれた。賛成の立場をとったのは、かつて「経済財政諮問会議」の民間議員も務めた昭和女子大学の八代尚宏特命教授だ。一方で、社会福祉士やケアマネジャーとして現場を長く経験した淑徳大学の結城康博教授は、反対の姿勢を崩そうとしなかった。2人のもとを訪ね、その理由を詳しく語ってもらった。

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