「福祉用具外し」で1,300億円超の給付費増 協会「合理性まったくない。本末転倒」


《 供給協会の会見 5月27日 》

福祉用具貸与の給付を思い切って縮小し、要介護2以下は原則として自己負担の仕組みに切り替えるべき ー 。財務省の主張だ。右肩上がりが続く給付費の適正化につなげるため、2018年度の介護保険制度の改正で実現するよう求めている。

こうした主張を具現化すると、どのような影響が出るのだろうか。福祉用具貸与の事業者などでつくる「日本福祉用具供給協会」は5月27日、そのことを調べた結果をまとめて公表した。

5月27日(金)に記者発表を行いました

それによると、車いすや歩行器、多点つえなどのレンタルを打ち切られてしまった場合、別の新たな支援が必要になると考えている利用者が多い。居宅内の移動や買い物、通院などに支障が出ないよう、「介助者を依頼する」とした人が目立っていた。訪問介護に頼らざるを得ない場面も増えることから、全体の給付費は逆に1,300億円(年額)以上膨らむと報告されている。

協会はこれを踏まえ、「財務省の言う改革は自立度を低下させる。さらなるコストアップを招くもので、費用対効果の面で合理性がまったくない。本末転倒」と批判。「介護職員の不足にも拍車をかける。『介護離職ゼロ』という目標にもマイナス」と強く反論している。

洗濯、排泄、通院、移乗… 多くが「介助者に依頼」

この調査は昨年12月に行われたもの。要介護2以下の高齢者のうち、車いす、歩行器、多点つえ、手すり、特殊寝台の利用者それぞれ100人ずつ、計500人を対象とした。今の機器が使えなくなったらどうするかを尋ね、478人から有効な回答を得たという。

結果をみると、第3者の介助が要ると感じている人が多い。例えば車いすが無くなったケース。掃除や洗濯、調理を済ませるために、8割以上が「介助者を依頼する」と答えていた。排泄や食事のためでは6割近くとなっている。外出については、通院(約7割)や買い物(約4割)といった欠かせない行動でサービスのニーズが高い。散歩や地域活動、文化・娯楽などは、「あきらめる」とした人が7割以上にのぼっていた。

こうした傾向は、歩行器が借りられなくなったとした場合でも同様。このほか、特殊寝台が保険から外されてしまった時の対応では、「起き上がり」や「移乗」のために「介助者を依頼する」と回答した人が、それぞれ5割を超えていた。

調査では、こうした結果にもとづき福祉用具を代替する訪問介護の量を推計し、それに必要となる費用を試算。サービスの効率化などでコストを減らせると仮定しても、1,370億円の給付費が余計にかかると見積もっている。また、10万人を超える介護人材の追加需要が発生するとも指摘した。

協会はこうした結果について、「主要5種目の分しか含んでおらず、利用者の重度化を早めてしまうことも考慮していない。実際にはさらに大きな悪影響が出る」と説明。「福祉用具貸与は、居宅での生活や地域との関わりなどをローコストで維持できる、非常に効果の高いサービス。本人の自立意欲を高め、介護者の負担を軽減する極めて重要な役割を果たしている」などと主張し、給付を縮小すべきでないと訴えている。

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