ケアマネ業務の実態調査を掘り下げ

2015年度の介護報酬改定にかかる調査データが揃う中、介護給付費分科会の検証・研究委員会が開催されました。15年度に関しては7分野での調査が実施されましたが、随時その結果を掘り下げていきます。今回は、「居宅介護支援をめぐる調査」をとりあげます。

3割程度のケアマネが「賃金の低さ」を訴え

改定の影響が遅れて生じてくる可能性を考えた場合、2016、2017年度と引き続き行われる調査にも注目が必要ですが、2015年度段階ですでに垣間見えるポイントに目を配ってみましょう。まずは現場でのケアマネ業務の実感から。

1つは、ケアマネの勤務上の悩みですが、目立つのは「自分の能力や資質に不安がある」「賃金が低い」、1人ケアマネ事業所に多い「相談できる相手がいない」という回答です。

「賃金が低い」については、特定事業所加算をとっている事業所で35.6%、1人ケアマネ事業所で33.9%、その他の事業所で29.4%となっています。3割程度のケアマネが「賃金の低さ」を訴えているのもさることながら、特定事業所加算をとっている事業所のケアマネの方が、その他の事業所よりも6ポイント近く上回っている点に注意が必要です。

なぜ特定加算の事業所の方が「賃金低い」?

調査票の回収数が5,000件に満たないので、10ポイント以下の差は「たまたま」という見方もあるでしょう。それでも、特定事業所加算事業所のケアマネの方が「賃金が低い」という回答が多いことは見逃せません。賃金が高いか低いかという実感は、金額の高低だけでなく、「業務量に対する賃金のあり方」も影響します。つまり、報酬上乗せによる賃金アップよりも、加算をとることによる業務量アップが上回っていることが想定されます。

仮にこの実感が一般的とするなら、特定事業所加算は、現場のケアマネにとってモチベーションになりにくい可能性が出てきます。事業所は増収になるものの、主任ケアマネや常勤専従ケアマネを増やしたり、研修や会議にかけるコストを差し引いた場合にケアマネ一人あたりの処遇感は低下する──これでは、組織にとって「ひずみ」となりかねません。

ちなみに、もう1つの「業務遂行に関する悩み」をみると、「記録する書式が多く手間がかかる」という回答がすべての事業所で7割前後に達しています。自由記述では、「(厳しくなった)特定事業所集中減算のための計算書作成などに多くの時間が必要であり、負担が大きい」という意見が見られます。

また、タイムスタディ表を見ると、特定事業所加算が「あり」の事業所と「なし」の事業所のケアマネでは、際立って業務時間に差が生じている(前者の方が時間は多い)のが「アセスメント票・ケアプラン作成、記入、入力等」となっています。特定事業所加算をとった場合、療養ニーズの高い重度者や包括からの困難ケース依頼が増える中で、アセスメント票からケアプラン各表の作成が煩雑になっていくことが影響していると思われます。

ケアマネは「兼務」で低い賃金を補う?

実は、もう一つ気になることがあります。それは、「勤務上の悩み」の中で、特定事業所加算の「ある」「なし」でやはり大きな差がついものに、「兼務業務が忙しくケアマネ業務の時間が十分にとれない」という回答があることです。これは、「加算なし」の方のケアマネの回答が6ポイント近く上回っています。

あくまで仮説ですが、特定事業所加算がないことで「兼務」がしやすくなり、「加算あり」のケアマネに比べて賃金への不満をやわらげる要因になっている可能性もあります。もちろん、どんな業務でも兼務となればそれなりの負担は増します。しかし、たとえば大手が運営する併設有料ホームやサ高住の相談員などであれば、それなりの賃金上乗せが可能かもしれません。(自社の併設サービスへの誘導という好ましくないケースもちらつきますが)

いずれにしても、この調査だけでも、ケアマネの基本報酬と特定事業所加算のあり方を考える入口となりそうです。来年度に同じ調査が行われるとすれば、もう少しはっきりした傾向が浮かんでくるかもしれません。

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