【残業代未払い】富山大学附属病院看護師703人分で2億円余

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富山大学(遠藤俊郎学長)は2月4日、同大附属病院(塚田一博院長、富山市杉谷2630)に従事する看護師に対する残業手当において、2013年1月以降25ヵ月間における未払いの時間外労働手当が2億219万円もの巨額にのぼっていたことを明らかにした。今回の未払い対象は退職した86人をふくむ計703人の看護師で、これら未払い分については2月分給与支給に合わせて全額が追加支給されることになっている。

この残業代未払い問題については、昨年1月の厚生労働省富山労働基準監督署から是正勧告をうけ、あらためて富山大当局が残業代の未払い分について調査してきたという経緯がある。富山労基署による病院への立ち入り調査をへて出された是正勧告では、電子カルテからログアウトした時刻から自動的に記録される時間帯が看護師長あてに正式申告された退勤時間より遅めにズレている傾向が全体的にみられるとして、正確な時間外労働時間を把握するよう勧告されていた。

これを受け病院側が昨年3月現在で在職していた看護師全632人を対象に、いまだ時効が適用されない2013年1月までにさかのぼり、電子カルテなどのアクセス時間と本人申請された退勤時間とをくらべて個別に確認するなどの調査を進めてきた。その結果、25ヵ月間に所属した管理職以外の看護師783人(退職者86人ふくむ)のうち9割近くに相当する703人において、計10万2,744時間分(2億219万円)もの未払い手当が積み重なっていたことが今回判明。そのうち1人当たりの未払い最高額は約178万円にものぼる。

残業代を正確に把握し切れていなかったことについて、大学側はこの日病院内において説明会を開き、「その多くは職員が申請していなかったケース」などと釈明。これまで出勤簿に押印して時間外手当のみを専用のパソコン端末からの入力により自己申請するシステムだったことから、当の看護師側がその煩雑さを嫌ったり上司に遠慮したりして残業代申請をしなかったことなどが背景として考えられる。

さらに残業代をなぜ申請しなかったのか理由を大学側が看護師らに聞き取り調査したところ、「申請のし忘れ」や「短時間だったため」とする回答が多いほか、「あえて短時間なので申請しなかった」あるいは「あまりに長時間すぎて気が引けた」などという回答も散見されている。

すでに是正勧告を機に同病院ではタイムカードが導入されたほか、マニュアル(労働時間管理手引書)の作成と法令順守の徹底など看護課を中心に改善を図っていく方針をしめす。また、直接の管理者である看護師長に対しては、所属部署全体の残務などを把握して対応することも徹底指示されたという。

今回の事態を受けて塚田病院長は、「誠に遺憾。さらに再発防止に向けた対策を推進し、適正な労働時間の把握に今後努めていきたい」などとコメントした。

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