特定加算をめぐる混乱は起きないか?

今回の介護報酬改定で居宅介護支援に関する大きな改定点が、特定事業所加算の区分および要件の変更です。その中で、全区分の要件としてプラスされたのが、「実務研修における『ケアマネジメントの基礎技術に関する実習』等に協力または協力体制を確保している」こと。この要件を有効に機能させるには、何が必要なのかを掘り下げてみます。

加算要件における「実習受入れ」以外の解釈

まず、4月1日付の介護報酬改定Q&Aでの新要件にかかる部分を見てみましょう。1つは、上記の要件が適用されるのが「平成28年度の合格発表の日から適用」という点を受け、それまでの間は要件を満たしていなくても加算は算定できるという点です。

注目したいのは、もう1つの要件についてのQ&Aです。ちなみに、先に示された介護報酬改定の概要では、「法定研修等における実習受入れ事業所となるなど、人材育成の協力体制の整備」となっています。この「実習」とは、新カリキュラムにおける「ケアマネジメントの基礎技術に関する実習」を指しますが、質問では、この「実習受入れ」以外に該当するものは何かを確認しています。

厚労省の回答によれば、「OJT機会が十分ではないケアマネ」に対して、地域同行型研修の実施や市町村のケアプラン点検に(協力事業所の)主任ケアマネを同行させることなどを想定しています。なお、質問では、「地域で有志の居宅介護支援事業所が開催する研修会の引き受け」を例としてあげていますが、これについても「要件に該当しうる」と回答。ただし、「具体的な研修内容は、都道府県において適切に確認されたい」としています。

当初の要件意図からトーンダウンした?

気になるのは、地域同行型研修などの明確なイメージを示している一方で、「有志の事業所による研修会の引き受け」(講師引き受けなどが想定される)という具合に、漠然とした質問ケースでも「該当しうる」とした点です。有志の事業所が行なうとなれば、かなり任意性の高いものも想定されます。厚労省の回答から判断すると、今後も随時ガイドラインなどが示され、それをもって都道府県が判断していくことになるのでしょう。

注意すべきは、新要件を給付費分科会で議論した際、厚労省が介護支援専門員実務研修実施要綱内の「実習における留意点」を示していることです。そこでは、実習にあたって「一事例だけでなく、複数の事例についてケアマネジメントプロセスを経験すること」が効果的であるとしています。また、経験することが適当であるとする「一連のケアマネジメントプロセス」について、同行等による居宅訪問、サ担会議への同席も含めています。

いずれにしても先の地域同行型研修を想定しており、それと比較した場合、Q&Aの回答はトーンダウンした印象です。受入れのすそ野を広げるなどを意図したのでしょうか。

「これからの人材」にとっても不安要素に

もちろん、主任ケアマネなどの負担を考えれば、できるだけ要件を柔軟かつ多様化するのは、現場としては好ましいことかもしれません。しかし、これからケアマネとして活躍する新人の受講者にとって、明確な線引きがなされないことは不安要素ともなります。

受講者にとってOJTが絡んでくる実習というのは、具体的な業務イメージをつかむうえで重要なプロセスです。その際に、受入れの事業所の取り組み体制が一定の質を維持していないと、新人ケアマネにとってはスタートからつまづくことになりかねません。

残念ながら、居宅介護支援事業所の中には、「地域での後進をきちんと育てよう」という意識が高い所もあれば、「加算取得ありき」で質の悪い効率化を図りかねない所もあります。そこで都道府県側が神経質となり、実習内容に過剰に介入するとなれば、逆に、創意工夫で頑張ろうとする事業所も萎縮しかねません。事はこれからケアマネを目指す人の意欲にもかかわる点を考えたとき、国としての交通整理をさらに進めてもらいたいものです。

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