利用者への「社会参加」支援とは?

今回の報酬改定で、テーマの一つとなっているのが「利用者の社会参加支援の強化」です。リハビリ系サービスの社会参加支援加算のみならず、小規模多機能型の総合マネジメント加算における「地域の行事や活動等に積極的に参加している」ことを算定要件とした部分など。特養ホームの地域貢献活動なども、社会参加支援の受け皿づくりが視野に入っています。今後の改定もこうした部分の評価が強化されるとして、利用者の社会参加支援に関して頭に入れておきたいことは何でしょうか。

社会参加のあり方は、こんなにも多様

一口に「社会参加」と言っても、そのあり方は、一人ひとり異なります。地域の祭りなどのイベントに参加することが「社会参加」の姿となる人もいれば、コミュニティセンターでの農園活動に参加して野菜を作ったり、なじみの喫茶店に通って近隣の人々とスポーツ談義をしたりすることが、その人にとっての貴重な「社会参加」となっているケースもあるでしょう。

また、元気だった頃は、いろいろな場面での地域貢献の活動が「社会参加」になっていたという例もあります。たとえば、地域のボランティア活動に参加していたり、利用者自身が医療や介護の現場に携わっていたという話。さらには、息子・娘が共働きという世帯で、両親が忙しい間に孫の面倒をみていたという例も、大切な社会参加の姿といえます。

一人趣味が生きがいの人にも社会参加の芽

大切なのは、一見、「社会参加」への志向がまったくない(一日中、ひとりでテレビを見ているのが好きなど)という人でも、よくよくその人の生活歴などに耳を傾けると、「社会参加」の芽が見えることがある点です。

たとえば、生活への意向を掘り下げるうえで、利用者の「していた趣味」に着目するケースは多いでしょう。そこで目を凝らしたいのは、長年続けている、あるいは人一倍熱心に取り組んできたという場合、そこには必ず「他者との関係」が潜んでいることです。

それが「大抵は一人で楽しむ趣味」であってとしても、「そこで作った作品を誰かに見てもらいたい」とか「同じ趣味の話題で誰かと交流するのが楽しみ」という動機があれば、それは「誰か」の存在がその人の趣味活動の原動力になっているわけです。そうする中で、社会参加に向けた扉が開くことになります。

問題は、「社会参加」を要件とした加算が増える中、道順が逆になる可能性はないかという点です。その人にとっての「社会参加」とは、その人の生活像にきちんと向き合う中で結果として浮かんでくるものです。ところが、「とにかく社会参加へとつなげなければ」という焦りが現場に生まれたとき、事業所が設定したフレーム(社会参加の場)にその人を当てはめるという流れが生まれかねません。

「参加ありき」にならないマネジメントを

もちろん、設定したフレームに対して、その人なりの動機づけを働かせることができれば、「社会参加」への意欲を高めることもできます。たとえば、こんなケースがあります。通所介護を拒んでいた人がいて、ケアマネは、その人が「人のお世話をする」ことに生きがいを感じていた点に目を向けました。そのうえで、「通所でテーブルの上を拭いたり、お茶を配るのを手伝っていただけませんか」という形で誘い、通所につなげました。

しかし、こうしたケースも、その人の「社会参加」への志向をきちんと見据えていることで実現できたものです。いずれにしても、その人がどんな状況でこそ「輝けるのか」を、粘り強く探っていく過程が欠かせません。「場を設定したら、それでOK」という考え方では、ケアマネジメントとは言えないでしょう。

気になるのは、国はそこまで見すえたビジョンを持って「社会参加支援」をうたっているのかどうかです。その人の「輝く姿」を掘り起こしていくことは、加算をとる・とらないにかかわらず、介護現場の基本的なミッションです。その部分をしっかり評価し、すぐれた社会参加支援とは何かについて、国としてもしっかり指針を示してほしいものです。

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