【連続骨折】兵庫・佐用共立病院の元看護師を傷害容疑で逮捕

兵庫県にある佐用共立病院(穀内隆院長、兵庫県佐用郡佐用町佐用1111)で入院中の患者6人が次々に肋骨を折っていた問題で、兵庫県警察本部捜査1課と佐用警察署はこのほど、元看護師の羽室沙百理(さおり)容疑者(26)を傷害の疑いで逮捕した。
羽室容疑者は傷害容疑により神戸地方検察局姫路支部に送検されて犯行動機など詳細な調べが進んでいる。

直接の逮捕容疑は、2009年1月13日から19日の間、肺炎で入院中だった寝たきりの女性患者(当時85)の胸部を両手で押さえるなど骨折させたことにある。
この女性は24本ある左右の肋骨のうち19本が折れていたといい、同23日に死亡している。
残る5人についても羽室容疑者は「あえて寝たきりで意思疎通ができない人をねらった」などと関与をほのめかす供述をし始めている。

患者6人の骨折は2008年12月から2009年1月にかけて起きていたことが発覚しており、そのうち3件は羽室容疑者が第一発見者であった。
佐用署などの調べによると、佐用共立病院病棟における看護師の夜勤は当時2人体制をとっていた。
病棟の巡回はひとりで行なうことから、同容疑者は夜勤巡回中に犯行におよんでいた可能性が高いという。

その被害者は当時75歳から99歳の高齢入院患者で、そのうち男性1人、女性5人。
すでに肺炎や肺がんなどを死因として全員死亡している。
佐用署などによると、一部おこなった司法解剖においても死亡原因(死亡診断上は全員肺炎)と骨折との直接の因果関係は不明とされているという。

2008年12月8日に1人目の骨折者が見つかると同月30日までに骨折が相次いだが、いずれも皮下出血などがないことから「病気骨折」と院内では判断されていた。
その後2009年1月5日に4件目が発覚して初めて「外傷性」を疑うようになる。
同月5日か7日にかけて病院幹部らが看護師ら約20人のスタッフに面談をするなど内部調査を始める。

面談において骨折事故4件中3件の第一発見者であった羽室容疑者は「第一発見者だから疑われるのでしょうか?」などと目に涙を浮かべて抗議していたという。
この段階では具体的に特定の病院スタッフを犯人視するような雰囲気ではなかったという。
2009年1月15日になって病院側は「患者6人に不自然な骨折が連続的に見つかった」として兵庫県当局や兵庫県警に事故として届け出る。

その後もさらに2009年1月19日にも最後の2人の骨折者が見つかった。
兵庫県警ではけがの状況などから、「内部犯行」ふくめて第3者に骨折させられた可能性が高いとみて1月27日から本格的に捜査を始める。
また1月28日より順次いままであったダミーの監視カメラから12台の本物のカメラを導入するなどの対策をとった。

「看護師らにはカメラがダミーだとは知らせていなかった」というが、本物のカメラ導入後は骨折事故は起きないようになる。
佐用署では今月11日の早朝から、6人が骨折したとみられる時期や時間と容疑者の勤務時間が一致していたため、羽室容疑者を任意で聴取していたという。

佐用共立病院によると、2006年9月に羽室容疑者はパートの看護師として採用。
いったん同病院を退職するが、人間関係のトラブルにより尼崎市内の別病院を辞めたあと2008年4月に再び採用され、2009年9月から産休・育休のため一時休職していた。
今回の逮捕立件を契機に3月11日付で同病院から懲戒解雇処分を受けている。

羽室容疑者は動機について「仕事上のミスもあり、看護師に向いていないのかと悩んでいた。職場に相談できる人もおらず、もろもろ人間関係にイライラしてやった」などと話している。
また「懸命に介護しても患者が自分に感謝の気持ちを示してくれない」などとも供述しているという。

佐用共立病院は、内科や外科・小児科・整形外科・皮膚科・リハビリテーション科・泌尿器科・婦人科・眼科・耳鼻咽頭科・歯科・脳神経外科など12診療科をもつ総合病院。
医療法人社団「一葉会」が運営する病床90症の総合病院で、約60人の看護師が勤務している。

今月12日に開かれた記者会見の場で鷹取久仁子看護部長は、羽室容疑者について「とくに患者さんやスタッフとのトラブルや仲間内のいじめ等は承知していない。看護師としてのレベルはごく普通で、無断欠勤などもなかった。本人との面談等でも不満や相談などは特に出ていなかった」と事の経緯を説明・釈明した。
西浦敏夫事務長も「まじめで穏やかな性格で患者からのクレームもなかった。関係者に迷惑を今回おかけして心からおわびしたい」と謝罪した。

さらに穀内隆院長は「骨折で呼吸状態等が悪化して被害者6人の死期が早まった可能性は大いにあり得る。個人的には、骨折による痛みを感じさせたことで呼吸機能に悪影響を及ぼしたとも思っている。肺と胸壁との間に血液等がたまって抜き取る処置をした患者も何人かいた。ご遺族にきちんと説明もしてまいるとともに、今後2度とこのようなことがないように対処していきたい」などと謝罪の意を示した。

また遺族らへの具体的な対応としては今後、主治医や看護部長らとともに各遺族宅などを訪ねて直接謝罪をし、見舞金などについても検討する意向を示唆している。

(中山 徹)



■関連サイト
佐用共立病院 HP

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