特養、相部屋を中心に基本報酬大幅減 看取り加算は増額

厚生労働省は6日、来年度の介護報酬改定に向けて議論を重ねてきた審議会の会合を開き、4月から適用する各サービスの新たな報酬・基準を公表した。

特別養護老人ホームについては、政府が繰り返し言及してきた通り大幅な減額。特に相部屋(多床室)の下げ幅が大きく、要介護5が現行の1日912単位から同814単位に、要介護4が844単位から749単位に減らされている(下記に詳細)。

加算では、ターミナルケアを評価する「看取り介護加算」の充実を打ち出した。他職種の連携の強化などを要件に、亡くなった日の4日前から30日前までに算定できる1日あたりの対価を、現行の80単位から114単位まで引き上げる。

また、利用者のベッドシェアを進めるための「在宅・入所相互利用加算」について、基準の緩和と単価の引き上げを行う。施設側に活用を促していく狙いで、単価は現行の1日30単位から同40単位にするという。

このほか、一定以上の所得がある相部屋の入居者を対象として、光熱費や室料の負担を増やすことも盛り込んだ。負担増は最も高い人で1日500円強で、実施は8月から。低所得者は1日50円程度の増額にとどめ、生活保護の受給者は対象外としている。

以下、公表された特養の新たな報酬・基準の概要をまとめた。

(1)看取り介護加算

入所者及びその家族等の意向を尊重しつつ、看取りに関する理解の促進を図り、介護福祉施設サービスにおける看取り介護の質を向上させるため、看取り介護の体制構築・強化をPDCAサイクルにより推進することを要件として、死亡日以前4日以上30日以下における手厚い看取り介護の実施を図る。

死亡日以前4日以上30日以下  80単位/日 ⇒ 144 単位/日
★死亡日の前日、前々日・死亡日は現行と同じ

■算定要件等(変更点に係る部分を抜粋)

・施設基準
  • 看取りに関する指針を定め、入所の際に、入所者又はその家族等に対して、当該指針の内容を説明し、同意を得ていること
  • 医師、看護職員、介護職員、介護支援専門員その他の職種の者による協議の上、当該指定介護老人福祉施設における看取りの実績等を踏まえ、適宜、看取りに関する指針の見直しを行うこと
・利用者基準
  • 医師、看護職員、介護支援専門員その他の職種の者が共同で作成した入所者の介護に係る計画について、医師等のうちその内容に応じた適当な者から説明を受け、当該計画について同意している者(その家族等が説明を受けた上で、同意している者を含む)であること
  • 看取りに関する指針に基づき、入所者の状態又は家族の求め等に応じ随時、医師等の相互の連携の下、介護記録等入所者に関する記録を活用し行われる介護についての説明を受け、同意した上で介護を受けている者(その家族等が説明を受け、同意した上で介護を受けている者を含む)であること

(2)「特別養護老人ホーム」の職員に係る専従要件の緩和

特別養護老人ホームの直接処遇職員による柔軟な地域貢献活動等の実施が可能となるよう、特別養護老人ホームの職員に係る「専従」の要件は、「特別養護老人ホームの職員配置基準を満たす職員として割り当てられた職員について、その勤務表上で割り当てられたサービス提供に従事する時間帯において適用されるものである」ことを明確にする。

(3)日常生活継続支援加算

平成27年度より介護老人福祉施設の入所者が原則要介護3以上となること等を踏まえ、介護老人福祉施設が今後更に重度者等の積極的な受け入れを行うことを評価する観点から、入所者に係る算定要件の見直しを行うとともに、ユニット型施設の入所者については、単位数を従来型施設の入所者よりも引き上げる。

日常生活継続支援加算(従来型)   23単位/日 ⇒ 36単位/日

日常生活継続支援加算(ユニット型) 23単位/日 ⇒ 46単位/日

■算定要件等(変更点に係る部分を抜粋)

・ 次の(1)から(3)までのいずれかを満たすこと。
  1. 算定日の属する月の前6月間又は前12月間における新規入所者の総数のうち、要介護状態区分が要介護4又は要介護5の者の占める割合が100分の70以上であること
  2. 算定日の属する月の前6月間又は前12月間における新規入所者の総数のうち、日常生活に支障を来すおそれのある症状又は行動が認められることから介護を必要とする認知症である者の占める割合が100分の65以上であること
  3. 社会福祉士及び介護福祉士法施行規則第一条各号に掲げる行為を必要とする者の占める割合が入所者の100分の15以上であること

(4)在宅・入所相互利用加算

地域住民の在宅生活の継続を支援するため、在宅・入所相互利用加算の利用を促進する観点から必要な算定要件及び単位数の見直しを行う。

在宅・入所相互利用加算  30単位 ⇒ 40単位

■算定要件等(変更点に係る部分を抜粋)

利用者の基準

・ 在宅生活を継続する観点から、複数の者であらかじめ在宅期間及び入所期間(入所期間が3月を超えるときは、3月を限度とする)を定めて、当該施設の居室を計画的に利用している者であること。

★ 現行では、「同一の個室」の計画的な利用が必要となっている。現行の要件である「要介護状態区分が要介護3、要介護4又は要介護5である者であること」については、撤廃する。

(5)障害者生活支援体制加算

65歳以前より精神障害を有し、特別なケアが必要と考えられる重度の精神障害者についても、障害者生活支援体制加算の対象となる障害者に追加するとともに、同加算で配置を評価している「障害者生活支援員」について、精神障害者に対する生活支援に関し専門性を有する者を新たに追加する。

■算定要件等(変更点に係る部分を抜粋)

利用者の基準

視覚、聴覚若しくは言語機能に重度の障害のある者又は重度の知的障害者若しくは精神障害者

障害者生活支援員の基準

次に掲げる障害の区分に応じ、それぞれ次に掲げる者

 

  • 視覚障害  点字の指導、点訳、歩行支援等を行うことができる者
  • 聴覚障害又は言語機能障害  手話通訳等を行うことができる者
  • 知的障害  知的障害者福祉法第十四条各号に掲げる者又はこれらに準ずる者
  • 精神障害  精神保健福祉士又は精神保健及び精神障害者福祉に関する法律施行令第十二条各号に掲げる者

(6)多床室における居住費負担

介護老人福祉施設の多床室の入所者のうち、一定の所得を有する入所者については、現行の光熱水費相当分に加え、室料相当分の負担を居住費として求める。

ただし、「低所得者を支える多床室」との指摘もあることを踏まえ、低所得者に配慮する観点から、利用者負担第1段階から第3段階までの者については、補足給付を支給することにより、利用者負担を増加させないこととする(短期入所生活介護についても同様の見直しを行う)。なお、当該見直しについては、平成27年8月から行うこととする。

(7)基本報酬の見直し

以下のとおり、基本報酬の見直しを行う。なお、多床室の基本報酬について室料相当分が減少すること等を踏まえ、平成24年4月1日以前に整備された多床室と平成24年4月1日後に新設された多床室との間での報酬設定の差は設けない。

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