「個別サービス計画の提出要求」義務がケアマネに与える影響

運営基準の改定に向け、省令改正のためのパブリックコメント募集が始まります。居宅介護支援の対象は2つ。1つは、ケアマネから各サービス事業者に対して個別サービス計画の提出を求めること。もう1つは、地域ケア会議における事例提出等の協力に努めることです。このうちの前者について、実効性がどこまで担保されるのかを考えてみます。

居宅支援と各サービス事業の意識共有を図る

個別サービス計画の提出を求めるのは、居宅介護支援事業者と各サービス事業者との間の意識の共有を図ることが狙いです。

現状はどうかというと、給付費分科会で示されたデータでは、「ケアプラン原案に基づく個別サービス計画(案)」を「受け取っていない」とするケアマネは16.7%にのぼります。また、「サービス事業者から提出された個別サービス計画(案)とケアプラン原案の連動」については、「確認をしていない・あまりしていない」という回答は21.8%となっています。

さらに、サービス事業所に対し、「個別サービス計画(案)の見直しを依頼したかどうか」について、「していない・あまりしていない」という回答は67.5%におよんでいます。ただし、「連動していない」場合を分母とした「見直し依頼をしたか否か」の割合データは出ていません。パブリックコメントを求めるなら、本来はそのあたりのデータも必要でしょう。

提出計画がプランと連動していなかったら?

ともあれ、個別サービス計画(案)の提出要求を義務づけることは、ケアプランとサービスを連動させるうえで、一見有効な基準のように思われます。問題は、それが現場の実情をくんだうえでの改革なのかという点です。

たとえば、居宅介護支援事業所とサービス事業所が同じ法人であれば、個別サービス計画の提出は「法人内の指示・命令」系統と重なります。こうしたケースなら、ケアマネにはさほど大きな負担とはならないでしょう。

これに対し、居宅介護支援事業所が独立型であればどうなるでしょうか。極端なケースでいえば、居宅支援側が小規模な独立型で、サービス事業者側が大法人であるといった場合です。地域によって「大規模法人が複数サービスを運営する場面が見られる」点を考えれば、決して希なケースとは言えません。

その場合、両者の法人規模による力関係が働いてしまうことはないでしょうか。たとえば、一人ケアマネの事業所から地域の大法人に「個別サービス計画の提出」を求めたとします。そのとき「提出」はなされたとしても、仮に「連動していない」ことが確認された場合、ケアマネ側から大法人に対して「計画の修正」を求めることができるでしょうか。

独立型ケアマネにかかる大きなプレッシャー

今回の基準案では、「提出」は求めていますが「修正」までは求めていません。現行の運営基準でも、サービス事業者との連絡調整等は義務付けられていますが、「個別サービス計画に対して修正を求める」などの権限は明記されていません。恐らく、ケアマネにそこまでの権限をいきなり付与するのは「現実的でない」という判断が働いていると思われます。

確かに、先のような法人間の力関係があった場合、「修正」まで求めれば、それは小規模事業所のケアマネにとっては大きなプレッシャーとなり、時には「あまりうるさく言うと、事業者側がサービス依頼を受けてくれなくなるのでは」という懸念も浮上しかねません。

しかし、国が求める「連携」の実効性を高めるうえで、こうした点はいずれ大きな課題となるでしょう。要するに、真の連携のためには、法人間の力関係のような構造的な問題にメスを入れることも必要だということです。

たとえば、小規模居宅支援を支える地域のケアマネ連絡会などに一人ケアマネなどの「駆け込み相談室」などを設け、そこにサービス事業者側への指導権限や運営上の予算措置を講ずるといった施策も考えられるでしょう。ケアマネだけにプレッシャーをかけても、業務負担が増すだけで解決できない問題があることを国に認識してもらいたいものです。

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