【パワハラ自殺】介護職員遺族の訴え認め、施設側に計5,000万円賠償命じる

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岡山県備前市内のデイサービスセンター「大ケ池荘」(同市伊部964-5)に勤務していた男性介護員(当時42歳)が、2007年にうつ病の末に自殺したのは同センター上司のパワーハラスメントが原因だとして、男性介護員の妻と子ども2人の遺族3人が社会福祉法人「備前市社会福祉事業団」(西岡憲康理事長、同市伊部964-1)に計5,000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が先月23日、岡山地方裁判所であった。

古田孝夫裁判長は、パワハラと自殺の因果関係を認め、業務上の死亡として原告の請求どおり計5,000万円の支払いを命じた。

判決などによると、この男性介護員は2003年から利用者の送迎や介助などを担当。翌年5月ごろから、上司の女性生活相談員が過去における男性介護員の仕事上のミスについて何度も繰り返し持ち出し、職員会議など万座の席で「何でできないの!」などとしつこく叱責するようになったとされる。

その厳しい指導や非難の繰り返しで精神的に落ち込み、2007年4月ごろにうつ病を発病。同年9月3日夜、妻に「上司に『人間失格』とか言われ、きつくこたえました。ダメな亭主でゴメン」などとメールを送り、その直後に岡山県内の河川敷でガソリンを頭からかぶって焼身自殺に至った。

古田裁判長は「業務以外に発病をうかがわせる事情はなく、病気により自殺したと推定できる」と因果関係を認定。さらに「上司は男性の判断・作業能力が低下している原因を見極めることなく、叱責を繰り返した。心理的負荷は過重。自殺を思いとどまる精神的抑制力が著しく阻害されていた。さらに施設管理者は配置転換などの対策をとらなかった」として、施設運営側の安全配慮義務違反についても指摘している。

この男性介護員の自殺をめぐっては、遺族が労災保険法に基づく遺族補償年金や葬祭料などの支給を求めたが、いったん厚生労働省・和気労働基準監督署(岡山県)が2010年8月に損害賠償・遺族補償年金などの不支給を決定。その後に遺族が国へ処分取り消しを求め岡山地裁に提訴していた経緯もある。

この日の判決で古田裁判長は、「(業務と自殺の)因果関係を否定した処分は違法」として、和気労基署の処分取り消しも併せて命じた。その一方で和気労基署は「判決内容を確認し、関係機関と協議したうえで控訴するかどうか判断したい」とコメント。さらに備前市社会福祉事業団は「判決内容を十分検討し、今後の対応を決めたい」などとしている。

(ASTRA医療福祉研究グループ)

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