大阪・さわ病院の元看護師が殺人容疑で逮捕へ 患者を布団巻き窒息死の疑い

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大阪府の医療法人北斗会「さわ病院」(澤温理事長・院長、豊中市城山町1-9-1)において昨年9月、認知症で入院していた男性患者(当時79)が「布団巻き」状態で変死(死因は窒息死)した問題で、大阪府警察本部豊中警察署は20日、病室内で患者をうつぶせにするなどして窒息死させたとして、当時同病院の看護師だった無職・坂本善高容疑者(34))(東京都国立市富士見台3)を殺人容疑で逮捕した。坂本元看護師は、「患者を静かにさせるため、うつぶせにしたり布団を巻き付けたりしたが、殺すつもりはなかった」などと供述し、殺意を否認している。

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坂本容疑者の逮捕容疑は、当直だった昨年9月22日午後10時ごろ、病室内のベッドで声を上げたり手足をばたつかせたりしていた男性患者の身体をうつぶせにしたうえ、上半身に布団を巻き付けるなど暴行したあと放置し、窒息により殺害に至らしめた疑い。男性患者の死因は胃の内容物をのどに詰まらせたことによる窒息死であることが司法解剖で判明しており、布団巻き状態で身動きできないまま食べ物が逆流し、のどに詰まる誤嚥(ごえん)を起こしたとみられている。

病院などによると、死亡した男性患者は認知症を患って約2年前から入院。手足が不自由でほとんど寝たきりだったが、食事は普通にとれていたという。事件発生時、精神科病棟5人部屋のベッド上で全身を布団にくるまれてうつぶせで死亡しているのを巡回中の別の看護師が発見、警察に通報していた。

当時、病院内部調査委員会による聞き取り調査に対して坂本容疑者は、「22日午後10時ごろ巡回中に男性患者が大声で騒いでいたので、医師に指示された睡眠導入剤を飲ませた。しかし治まらず、同室の患者が寝られなくなって迷惑とならないよう声を抑えるために患者をうつぶせにして頭を布団で巻き込んでくるんだままにしておいた」などと説明したとされる。その前に別の看護師が巡回した際には異常はなく、大きな物音や争うような声を聞いた人もいなかったという。発見時、病室にはこのほかに4人の患者がいたが、全員寝ていて男性患者の変調に気づく人はいなかった。

坂本元看護師は長くこの患者を看護しており、誤嚥を発症しやすい症状だったことも業務上知っていたにもかかわらず、胃の内容物が逆流しやすい体勢をとらせたことになる。豊中署は、うつぶせ状態で布団巻きにして寝返りできないようにした行為には、たとえ積極的な殺意がなくとも、相手が死ぬかもしれない(死んでもいい)ことを認容していた(または、相手が死ぬ蓋然性が高いと認識していた)という「未必の故意」に当たる行為として、業務上過失致死容疑ではなく殺人容疑による逮捕を相当と判断したものと思われる。

1953年に開設された北斗会さわ病院は、精神科を中心に外来と救急診療をおこなっており、精神医療や高齢者福祉のほか、認知症対策に重点を置く病院として知られる。精神科の病床数は8病棟・455床。府から指定を受けて認知症疾患医療センターや附属看護専門学校などを傘下にもつなど、豊中市にかぎらず北摂地域における精神疾患や認知症患者のための中核病院と位置付けられていた。

さわ病院では昨年10月、「医療行為として不適切にして絶対にあってはならない」として坂本容疑者を懲戒解雇処分にしていた。今回の逮捕をうけて同病院では「何も聞いていないので答えられない」などとノーコメント対応するのみであった。

(ASTRA医療福祉研究グループ)

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