「介護の仕事を熟知していなかった」無資格者によるインスリン注射行為も発覚

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千葉市保健福祉局は7日、介護保険料と生活保護費の計316万8千円を不正受給したなどとして、同市内の株式会社もえぎウィズ・ワン(末木節子社長、同市中央区亥鼻1-2-5)が運営する3ヵ所の介護施設について、介護保険法・生活保護法両法に基づく事業所指定をそれぞれ取り消し・停止処分とした。詐欺罪や医師法違反などによる同社への告訴について検討中としている。

処分を受けたのは、訪問介護事業所「ヘルパーステーションみんなのて」(花見川区幕張町6-315-2)と通所介護事業所「デイサービスみんなのて あおば」(中央区星久喜町994-20)。さらに、同じくもえぎ社が運営する訪問介護事業所「訪問介護ステーションもえぎ」(中央区亥鼻1-2-5)についても1ヵ月間の事業所指定の全効力停止処分を受けた。

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3事業所は、昨年10月から今年8月、退職者が出たために人手不足で事業を休止していたにもかかわらず、架空のサービス実施記録を作成して不正請求したり、今年9月におこなわれた市の監査時に勤務実績のない虚偽のヘルパー職員の勤務実績を提出したり、大半の利用者について介護の必要度に応じた限度額ぎりぎりまで介護給付金を申請したりするなどしていたという。

職員として名前を勝手に使われたある女性は、なにか書類などに署名したような覚えもないとして、「たしかに資格は持っていますが、いまはレストランでバイトしています」などと驚きの表情を示した。また、ある元職員は「次から次に利用者を受け入れていて、職員の数や介護士さんの数は少ないままになっていた。お金がもらえるというところで何も考えなしにやっていたんだと思う」などとも証言する。

さらには、看護師なども足りないためか、医療資格をもたないヘルパー職員が高血糖症利用者にインスリン注射を打つ行為なども常習的であったとする証言も複数あるという。

同社をめぐっては今年7月、利用者などの通報を受けて、千葉市がケアプラン通りに介護サービスを実施するよう一度指導をしていた経緯がある。その後同月中に市職員が指導に訪れた際にも別の不正事実を発見。さらに翌月になって施設の一部従業員から介護報酬の不正受給を疑わせる情報提供があった。

これらのことをきっかけに市調査等により数々の不正が発覚していった。9月12日に執行された監査でも、事業所側が虚偽の資料を提出するなど「悪質な妨害行為」を受けていたともされる。

市では、同社が千葉市や船橋市・習志野市・柏市・鎌ヶ谷市・松戸市・白井市などの保険者から不正受給した316万8千円のうち、千葉市が負担させられて支払い済みの計242万4千円分について即日に返還請求を行った。今回の処分決定をうけて他市もこれに続き請求するものと思われる。

もえぎ社はこれらの不正行為を認め、保険者側からの返還請求に応じる意思を示しているという。末木社長は市の調査に対し「介護の仕事を熟知していなかった」などと釈明。既存利用者への対応としては、9月の監査実施時点での利用者が39名いたとし、他事業所への引き継ぎなどによりサービスの提供が確保されるよう事業者側を指導、必要なサービスは確保される見込みだ。

ちなみに介護保険法に基づく事業指定取り消し等の処分権限は、今年4月から千葉県から市に移譲されたものであり、今回は市として実施する初の取り消し処分となった。今後5年間もえぎ社の役員等は介護保険法等に基づく居宅サービス事業所の指定を受けることはできなくなる。

さらに市では今後、3施設を運営するもえぎ社を詐欺罪での告発を検討するとともに、無資格者による医療行為をめぐり医師法違反の可能性もあるとみて、県警当局とともに相談・検討を進める方針ともしている。

以下、今回行政処分の理由など詳細については次のとおり。

【指定取り消し:ヘルパーステーションみんなのて】
(1)実際にはサービスを提供していない者の氏名で、平成24年6月から8月までの3ヵ月間にわたり、合計して214枚のサービス実施記録を作成し、介護報酬を請求(介護保険法第77条第1項第6号該当)
(2)監査に際し、実際には勤務していない者を勤務したとして記録を提出(介護保険法第77条第1項第7号該当)

【指定取り消し:デイサービスみんなのて あおば】
(1)平成24年6月12日から同年7月15日まで事業を休止していたにもかかわらず、8名の利用者に延べ184日間にわたって介護サービスを提供したとして介護報酬を請求(介護保険法第77条第1項第6号該当)
(2)監査に際し、実際には勤務していない者を勤務したとして記録を提出(介護保険法第77条第1項第7号該当)

【指定の全部効力の停止1ヵ月:訪問介護ステーションもえぎ】
(1)実際にはサービスを提供していない者の氏名で、平成23年10月に、5日間で合計13枚のサービス実施記録を作成し、介護報酬を請求(介護保険法第77条第1項第6号該当)

また、事業所ごとの各法規別の不正受領額など詳細については次のとおり。

【ヘルパーステーションみんなのて】
(1)介護保険法分:64万7千円
(2)生活保護法分:9万5千円

【デイサービス みんなのて あおば】
(1)介護保険法分:167万1千円
(2)生活保護法分:72万2千円

【訪問介護ステーションもえぎ】
(1)介護保険法分:3万3千円
(2)生活保護法分:なし

(ASTRA医療福祉研究グループ)

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