介護医療院の約8割が移行前より事業利益率上昇 福祉医療機構

介護医療院の開設状況および運営実態について(8/2)《福祉医療機構》

福祉医療機構(WAM)の分析によると、約8割の介護医療院が移行前の施設よりも事業収益対事業利益率(事業利益率)が上昇していることが分かった。2018年4月の創設から一定期間が経過したことから運営実態を明らかにするため、19年度の決算データを有する介護医療院について、開設後1年未満の施設を除き、サンプル数32施設を対象にWAMが分析を行った。

介護医療院の開設状況および運営実態に関するリサーチレポートについて
介護医療院の開設状況および運営実態について

介護医療院への移行前後の平均事業利益率は、移行前となる17年度の2.1%から、19年度は10.6%へと上がった(参照)。移行後に事業利益率が上昇した施設は、全体の78.1%(25施設)を占めた。他の介護保険施設と比べても比較的高いが、留意点として、18年度は診療報酬・介護報酬の改定があったこと、施設の一部移行であるため、移行していない既存施設の収益にも考慮が必要だとしている。

開設状況を見ると、介護医療院は21年3月末で572施設となり、全ての都道府県で開設実績がある。1都道府県当たりの平均施設数は12.2施設で、最多は福岡県の39施設。最も少ない県は山梨県の1施設だった。

療養床規模は40床以上60床未満が比較的多かったが、40床未満の小規模な施設から、100床以上の大規模な施設まで多様な構成だった。併設施設は、病院が68.8%で最も多く、次いで診療所が21.9%。病院併設の介護医療院の多くは、病院の一部の病床から移行して開設されていた。

移行前の施設種別は、介護療養病床が44.7%で最多となり、次いで、医療療養病床が28.9%、介護療養型老人保健施設が23.7%などの順。厚生労働省の20年度の調査では、廃止予定の介護療養病床から介護医療院への移行を希望しているのは約4割で、約半数が移行先未定または介護療養病床のままと回答したが、WAMでは、21年度からの介護療養病床の基本報酬引き下げや移行計画未提出減算の新設により、「移行が加速度的に進む」との見方を示している。

新規入所利用者の入所前の居所は、約9割が医療機関で、地域包括ケア病棟や回復期リハビリテーション病棟における在宅復帰率の算定上、介護医療院は在宅扱いとなることから、WAMでは、引き続き医療機関経由の入所が多いと予想している。

入所利用者の約9割が要介護3以上で、利用者1人1日当たり事業収益は1万6,561円。19年度の介護療養病床の利用者1人1日当たり収益の1万6,538円と同水準だった。介護療養病床の基本報酬引き下げにより、今後、大きく差が開く見通し。

一方、他の介護保険施設と比べて、「介護職員処遇改善加算(I)」や「介護職員等特定処遇改善加算」の算定率が低かった。WAMでは、病院を併設している施設の場合、病棟勤務の看護補助者など、加算の対象とならない職種との賃金バランスに配慮が必要であるため、加算対象外職種の処遇改善費用の「持ち出し」が発生することを敬遠して、算定しなかった可能性があるなどとしている。

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