「自立に取り組む必要ない」 通所介護の入浴介助加算、障壁はケアマネの無理解?

今年4月の介護報酬改定で見直された通所介護の「入浴介助加算」− 。日本デイサービス協会の森剛士理事長(ポラリス代表取締役)は、新設された上位区分の加算(II)をめぐり問題を提起する声明を出した。居宅介護支援のケアマネジャーの理解が十分に得られず、要件を満たしてもうまく算定できないケースがあると訴えている。【北村俊輔】

「居宅としての方針で算定は認めない」「ケアプラン更新時まで算定の検討はしない」「自宅にお風呂がないので自立に取り組む必要はない」。

こうした考えをデイサービスへ伝え、加算(II)の算定を拒否するケアマネがいるという。

日本デイサービス協会は会員の116事業所を対象に調査を実施。今年5月に入浴介助加算を算定した利用者4024人の状況を探った結果、「デイサービスとケアマネとの間でトラブルが発生していることが分かった」と報告した。「加算(II)の算定にあたって問題になったこと」を尋ねたところ、ケアマネから次のように言われた事業所もあったことが判明したという。

○ 従来の加算とどう違うのか、私が理解していないから算定させない。

○ デイサービスを使う意味とこの加算は矛盾している。今後は紹介しない。

○ これ以上加算を算定するなら他の事業所に変える。

○ 自宅を訪問して評価するなんて不可能。

森理事長は声明でこうした現状について、「今回の報酬改定に対応しきれていない。制度の目的から逸脱している大きな問題」と指摘。「加算(II)はより効果的な自立支援に取り組む事業所を評価するもの。協会としてはしっかりと個別ケアを精査し、できる限り算定していくよう推奨している」と改めて呼びかけた。

オンラインの取材に対しては、「声明はデイサービスとケアマネの対立を煽るものでは決してない。両者の分断は高齢者の在宅生活を守るうえで何らプラスにならない」と強調。「今後は丁寧な説明や好事例の共有などにも努めていく。加算の趣旨への理解を深めるため、デイサービスとケアマネの合同勉強会なども開催したい」と話した。

新たな入浴介助加算(II)は55単位/日。専門職らが利用者の自宅を訪問して浴室環境を確認すること、それを踏まえた個別計画を多職種連携のもとで策定すること、計画に沿った入浴介助を事業所で行うことなどが要件だ。厚生労働省は加算の目的を以下のように説明している。

「利用者が自分自身の力で、あるいは家族やヘルパーなどのサポートを受けながら、それぞれの住まいで入浴できるようにすること」

今年4月に発出された通知には、そもそも浴室が無いなど自宅での入浴を想定できない利用者や、心身機能を大幅に改善しなければ自宅で入浴できない利用者らも、条件付きで加算(II)の算定対象になると記載されている。こうした加算(II)の新設と引き換えに、従来の区分に相当する加算(I)は単位数が引き下げとなった経緯がある。

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